池田理代子の大ヒット漫画を、監督:ジャック・ドゥミ、音楽:ミシェル・ルグラン以下外国人スタッフ、キャストを起用し、ベルサイユ宮殿をはじめオールフランスロケで映画化した超大作。

しかし男装の麗人オスカルはどう見ても女性にしか見えないし(全く気付かないフェルゼンがマヌケに見える)、2時間で描くにはお話は詰め込み過ぎで、登場人物もやたらと多い。
ロザリーや、ジャンヌと「首飾り事件」のエピソードなどはこの際割愛して、もっとオスカルとアンドレ、マリー・アントワネットとフェルゼンに絞れば良かったのに、と思う。
ラストも、立ち上がった群衆がバスティーユを占拠するところまでは触れるものの、アンドレは銃弾に倒れるが、彼とはぐれたオスカルは人の波に押し流されて消えていって終わり。
アントワネットやフェルゼンの最期について語られることもないという歯切れの悪さ。
で、「つまんないなあ」と初めて見た30年近く前は思ったものだけれど、改めて見ると映画の雰囲気は悪くない。
カトリオーナ・マッコールは男装がそれほど似合ってるとは思わないけどドレスアップした姿は綺麗だし、おまけに女性同士のキスシーンやヌードも見せる熱演。
ジョナス・ベリシュトルームのフェルゼンは嫌味のないハンサムで、バリー・ストークスのアンドレはフェルゼンとは対照的にややワイルドさを感じさせる精悍さが魅力的だし、クリスティーネ・ベームは天真爛漫さが如何にも王妃らしい(残念ながら作品公開直後に事故で亡くなられたらしい)。
原作漫画に似てる似てないは兎も角として、何れも好演しているので余計勿体なく思える。
製作は当時、角川春樹や西崎義展と並んで独立独歩、新進気鋭のプロデューサーと目されていた山本又一朗。
今の日本映画ではここまで野心的な企画は出せそうもないなあ。
【ひとりごと】
Blu-rayには「水曜ロードショー」放送時の吹替版を収録。
オスカルは汀夏子、アンドレは堀勝之祐、マリー・アントワネットが小原乃梨子、そしてフェルゼンが井上真樹夫…というのはちょっと違和感。
何故この組み合わせになったのだろう?
どうせなら当時放送していたTVアニメ版のキャストでも良かったんじゃなかろうか。