天体観測が趣味の風早アキラは、毎晩観測している惑星イカルスがこのままでは地球と衝突してしまうことに気付くが、天文台では素人の子供の意見として取り上げられない。
だが謎の男たちがアキラを付け狙い、彼は誘拐されてしまう。
実はアキラを浚ったのは国連の秘密機関パール研究所の所員たちだった。
研究所では地球に接近するイカロスを破壊する兵器”超破壊光線砲”の開発を進めており、アキラの能力が必要だったのである。
地球の平和を守るという目的を知り、リーダーのヤマトネ博士の申し出を受け、アキラは研究所の一員になるのだった。
”光線砲”の完成に必要な特殊レンズを作るため、原石を探してヤマトネ博士たちは幻の大陸アトランタスへと向かうが、そこには謎の集団が待ち構えていた。
宇宙征服を企むナゾーもまた、原石を狙っていたのだ。
絶体絶命の彼らを救ったのは、大陸にある棺に眠っていた平和の守護者、黄金バットであった。
戦前に紙芝居、戦後は紙芝居に加えて絵物語などで人気を博していた「黄金バット」の映画化作品で、この実写版映画に続いてテレビアニメシリーズも放送された。
原作は永松健夫、脚本は高久進、菊池俊輔が音楽を担当し、監督は佐藤肇、そして加太こうじが監修を務めている。
出演は千葉真一、山川ワタル、筑波久子、高見エミリー、アンドレ・ヒューズ、中田博久、岡野耕作、関山耕司、沼田曜一、国景子、北川恵一、片山滉、青島幸男ら。
何らかの技術的な問題点があったか、あるいは予算の都合かと思うが、逆に大胆な合成を取り入れるなど迫力ある画面作りに努めた娯楽作。
殆ど悪役然とした豪快な高笑い(声:小林修)と共に登場する黄金バットの、余裕綽々のチートっぷりも愉しい。
またこの黄金バット、ナゾーが研究所の所員を人質に取っているにも関わらず堂々とナゾーを攻撃し、その結果人質が何人も死んでしまうという空気の読めないトンデモな行動を取るのだが、それもかえって人類を超越した存在として印象に残る。
上映時間は73分とコンパクト。
「月光仮面」や「七色仮面」などもいるが、古代文明をバックボーンに直接人類と接点を持たず、宇宙規模の災厄と対峙するといったあたりは、これぞ”東映ヒーロー”の元祖格といったところだろう。
白黒映画故になかなか再評価される機会に恵まれていないのが残念だ。