イオン・プロ製作の<ジェームズ・ボンド>シリーズ7作目。
前作でジョージ・レイゼンビーが二代目007を襲名したものの、ゴタゴタがあって降板。
三顧の礼を尽くしてショーン・コネリーが一作限定で復帰を果たした。
前作でやや低迷したシリーズも盛り返し、「やっぱりボンドはコネリーじゃなくちゃ」の感を強くした反面、せっかく若返って精悍な身のこなしを見せたボンドが本作ではすっかり貫禄ある姿になっちゃったのは痛い。殺された女房の敵討ちに乗り出すボンド、という前作からの引きもあるので、尚更レイゼンビーだったらなあ、との思いが強い。
しかしその一方で、もし前作が当初の構想通りにコネリーとブリジッド・バルドー(もしくはカトリーヌ・ドヌーヴ)との共演作だったらかなり異なったムードの作品になっていただろうなと想像するのも愉しい。
かなーり”濃い”映画になっていたんじゃなかろうか。
序盤でブロフェルドに復讐を果たしたボンド。ところがどっこい、ブロフェルドは生きていた!
――ということで後半では再びボンドとブロフェルドの対決が前面に押し出されるのだが、実は原作でボンドと対決するのはブロフェルドではないそうな。
映画に勝手に出しちゃったので、権利を主張するケヴィン・マクローリーが激怒。その結果、以後のシリーズではブロフェルドやスペクターを登場させられない時期が長らく続くことに。
また最初に考えられていた敵役はゴールドフィンガーの双子の弟だったとか。
ということはボンドの復讐劇の要素は薄かったか、ひょっとするとなかったのかも?
作品のみならず、その製作の裏側も色々と奥が深いシリーズである。
ちなみに冒頭でコネリーはプールサイドに佇む美女に近づき、「君の胸の中を見せてくれ」と宣いいきなりビキニブラを取ってそのまま首を締めあげるという荒業を見せるが、セクシーシーンの多いこのシリーズでもここまでハッキリとバストトップが見えるショットがあるのはこの作品だけかも。
<過去記事>