『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』を見て、最後に探偵が皆を集めて自分の推理を披露し犯人を名指しするという定番シーンがないことでモヤモヤが残り、
『007/私を愛したスパイ』を見て、ピラミッドやスフィンクス、神殿の跡地でのスリリングなやりとりに心惹かれたこともあり、そして今年はいよいよリメイク版が公開されるということでのお浚いも兼ね、アガサ・クリスティーの『ナイル殺人事件』を再観賞。
クリスティー作品の映画化の中ではこの作品を最高傑作に推す人も少なくないようだが、自分の中ではそれほどでも…とこれまでは思っていたのだが、何度か見直すうちに段々とこの作品の面白さがわかるようになってきた気がする。
絵的にも豪華スターの共演や、エジプトという魅惑の地を舞台にしていることの愉しさがあるのだが、物語の組み立ても面白い。
遊覧船上で殺人事件が起こり、そこに乗り合わせた乗客の誰もに動機と機会があるのだが、その中でも本命と目される人物だけにはアリバイが成立している。ではそれ以外の人物なのか、それともやはり…?という興味で引っ張っていく中で第二第三の事件が起きてしまうというスリリングさ。
そこから先の急展開は些か急かし過ぎに思えるのだが、それでも関係者一同を集めポワロが一つ一つ事件を解きほぐしていくシーンになると、来た来たキター!という高揚感が味わえる。これが探偵モノの醍醐味というものだろう。
ディズニーによる20世紀FOXの買収などの影響もあって当初の予定より遅れたものの、今年の秋にはスクリーンでブラナー=ポワロに再会できそうで今から楽しみである。
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