半ば手探り状態で作っていた前作と違い、本作はしっかりと来たるべき「アベンジャーズ」を見据えたものになっている。
ニック・フューリーが物語展開にしっかりと絡んでくるし、最後にムジョルニアをチラッと映し次回作「マイティ・ソー」への興味を繋ぐ。
エージェント・コールソンがトニーのお目付け役として登場しながら、僅かな出番の後に”転属”という形でトニーの元を去るなんて本来の物語の流れからすると全くいらないはずだが、ラストシーンでのムジョルニアを発見する役割をコールソンに振ることで、これが重要アイテムだと観客に知らしめる効果があるわけだ。
それ以外にも終盤で映し出されるTVのニュース映像が、
「インクレディブル・ハルク」内で描かれたカルバー大学での騒動を報じたものであることに気付けば、ここまでの3本の映画が密接に関係していることに気付く人は気付く。このあたりは上手いやり方だとは思うが、同時に一本一本の作品の独立性が損なわれてしまうのは諸刃の剣でもある。
そしてもう一つこの作品の重要な要素は、エージェント・ロマノフ、通称”ブラックウィドウ”の登場。
スターク・インダストリーズに突如現れた、謎めいた”出来る美女”。それが実はフューリーの命を受け潜入捜査していたシールドのエージェントだと判明。後半は見せ場の連続で、彼女がいなかったらこの一件は解決に至らなかったかもしれない、というくらいの大活躍を見せる。
もっとも、「アイアンマン」シリーズに新たなレギュラー登場か、くらいにしか考えなかった人もいただろうけれど、この後の彼女はアベンジャーズの一員となり、遂には主役となる映画が公開されるわけだから大した出世だ。
サブキャラでデビューして単独でタイトルロールにまで上り詰めたキャラは、今のところ<MCU>では彼女一人である。
ところで本作で全ての罪を着せられてしまった感のあるジャスティン・ハマー、彼はその後どうなったのだろうか。
スパイダーマンが戦ったヴァルチャーやミステリオは共にトニーに恨みを抱く人物だったが、ひょっとしてハマーが裏で接触していたりして。
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