突如出現した謎の”雲”により首都・東京は覆い尽くされ、内部に入ることも通信することも出来ず、日本は大混乱に陥る、という小松左京原作によるSFパニック映画。
四半世紀ぶりに見たけれど、お話、全く覚えていなかった。
メインとなるのは”雲”を何とかしようとする電子工学の専門家と、事態の真相に迫ろうとする報道関係者で、これに自衛隊の人間や政界の有象無象が絡んでくるのだが、豪華なキャストの割に皆印象が薄い。
多少の接点はあるものの、それぞれのドラマが別々に繰り広げられ、それらが有機的に結びつかないからであろう。
”雲”の正体も何だかわからず、英知を結集した数々の作戦も失敗に終わるものの、最後は唐突に”雲”が消えて(正体も不明のまま)終わり。
どうやら閉じ込められていた都民(主人公たちの取り残された家族)たちも無事だろう、という終わり方は些か拍子抜けだ。
メインの二人はどちらも崩壊した家庭を抱えているが、その修復もなされたのだろうか。
監督は舛田利雄、脚本は舛田利雄と山浦弘靖の共同で、音楽はモーリス・ジャール。
特撮監督が中野昭慶だったのでてっきり東宝映画かと勘違いしていたけれど、これは徳間書店傘下だった大映映画。
出演は渡瀬恒彦、名取裕子、山下真司、石野陽子、大滝秀治、夏八木勲、財津一郎、ぼんちおさむ、津村隆、松村冬風、岸部一徳、平淑恵、濱田万葉、三木のり平、浅利香津代、海老名みどり、加藤治子、竜雷太、渡辺文雄、石橋蓮司、丹波哲郎ら豪華な顔触れが、対して自己主張する間もなく右往左往する結果に。
シュミレーションドラマ、ディスカッションドラマとして作ればもっと面白くなったんじゃないかなと思うのだが、家族を助けるために頑張る、いわば”ハリウッド超”のドラマとして作られてしまったため、凡百の作品群に埋没してしまったような気がする。
【ひとりごと】
チョイ役で並木史朗、星正人、刈谷俊介、平泉征、宮内洋、青木義朗、丹波義隆、うえだ峻らの名前が…!