先ごろCEOを電撃退任したウォルト・ディズニー・カンパニーのロバート・アイガー会長の自伝。成功したビジネスパーソンのサクセスストーリーということで、「ビジネスマン必携」の「経営者論」「リーダー論」といった内容なのかと思いきや然にあらず。
表題にある「10の原則」は早々にプロローグで掲示され、自身の生い立ちや経歴(ABCに入社して現場の使いっ走りから始まり、ディズニーによるABC買収からディズニーの一員となっていくというライフストーリー)が半分ほどを占めているが、後半は映画業界の裏話となり俄然興味深くなってゆく。
アイガーがCEOになってからのディズニーといえば、ピクサー、マーベル・エンターテインメント、ルーカス・フィルム、そして21世紀フォックスを次々と傘下に収めている。
いわばアイガーは今日の隆盛を築き上げた、再建の立役者なのだ。
スティーブ・ジョブス、ジョン・ラセター、エド・キャットマル、アイク・バルムッター、ジョージ・ルーカス、ルパート・マードックらとの直接交渉に臨み、粘り強く買収を進めていく過程が当事者の口から語られるのは実にスリリング。
この部分だけでも映画業界やエンタメ業界に関心を持つ人には満足出来る内容ではなかろうか。