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『帝都物語外伝』(1995)

帝都物語」「帝都大戦」に続く劇場版第三弾だが、製作母体が別なのでシリーズ作品ではない。
一応は最後に加藤が姿を見せたのは昭和20年、ということになっているけれども、お話は直接つながらない。

『帝都物語外伝』(1995)_e0033570_08311079.jpg時は現代で、舞台は西条病院という精神病院。患者たちが帝都の破壊神・加藤保憲復活の集団妄想を見ているということで、院長の指示のもと、看護師の柳瀬仁哉が加藤に扮するセラピーが行われていた。
この柳瀬という男、 街で女を拾っては殺した後で犯すという異常性欲者なのだが、ある日出会った美千代という女だけは柳瀬の行為を受け入れてくれる。
この病院にはかつて加藤と戦った鳴滝淳一が患者として入院しており、加藤封じ込めの結界を張ろうと苦闘中。
更に今はホームレスに身をやつした辰宮恵子と出会い、共に加藤と戦うように説得するも彼女はそれを拒む。
病院のレクリエーションの一環で加藤を題材にした芝居を上演することになったのだが、その時加藤が柳瀬に憑依し、鳴滝をはじめ患者たちを次々と殺害、その魔手は美千代にも迫る。
実は彼女は、あの辰宮洋一郎の孫娘だったのだ。

正直言うと1時間半の上映時間が、2時間にも3時間にも感じるくらい怠い。
公開当時に期待して劇場へ行ったものの、はて自分は一体何を見せられてるのだろう?と戸惑ったほど。
冒頭からベッドシーンでその直後に主人公は女を殺しちゃうし、その後も暗い画面が延々と続くエログロなアングラ映画、猟奇的な前衛映画だ。

ぶっちゃけ本作には加藤保憲本人は出てこないし、出演者の中に嶋田久作の名前もない。
それだけで「帝都物語」の一篇として受け止めるのは厳しいものがある。

監督が橋本以蔵で、西村和彦、鈴木砂羽、山谷初男、ベンガル、きたろう、小倉一郎、白川和子という出演者の顔ぶれを見ても一般受けする要素は殆ど見当たらない。
逆に言えば、この名前にピンときたマニアの心には刺さるものがあるカルト映画、ということになる。
公開以来の再見だったが、なかなか苦行だった。

by odin2099 | 2020-05-10 10:47 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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