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『アポロ13』

アポロ11号の歴史的偉業を描いた「ファースト・マン」の後は、アポロ13号の”輝かしい失敗”を描いたこの映画。
しかし何度見ても良くできてるな、これ。
ディティールにもこだわった再現度も高いし、もちろんドラマとしても面白い。

それでも見ていて気になる点はいくつか。

例えばジム・ラベルはアポロ11号のバックアップ・クルーの一人。
その彼がニール・アームストロングが月面に初めて足跡を記すとき、自宅で仲間たちとパーティーをやっていてよかったのだろうか。

『アポロ13』_e0033570_21391205.jpgあるいは、本来の13号のクルーはジムにフレッド・ヘイズ、ケン・マッティングリーの3人だったが、打ち上げ直前のアクシデントによりケンが下されジャック・スワイガードが乗り込むことに。
しかしケンに比べてジャックの未熟さが強調され、挙句にはフレッドと衝突する場面までも用意されているのだが実際のところはクルーの仲はどうだったのか。

また映画の後半では、残されたケンが瀕死のアポロを救うために寸暇を惜しんでシュミレーションを繰り返すシーンがあるのだが、いくら13号のついて彼が熟知していたとしても孤軍奮闘ぶりは些か不自然に感じてしまうのだが等々。

コメンタリーとして収録されているジム・ラベル本人(と奥さん)の弁によれば、11号の月面着陸時にはジム本人は管制センターで見守っていたそうで、ホームパーティにしたのはオープニング場面で主要登場人物を紹介するための脚色のようだし、急遽代替要員として抜擢されたジャックは、既にシュミレーターからは数か月も遠ざかっていたにも関わらず腕の良いパイロットだった、との証言がある。
若いジャックを成長するキャラクターとして描くためのこれも脚色のようで、クルーがいがみ合うことはなかったようだ。

それに”救世主”の役割を果たすケンだが、これもジムの弁によれば複数の宇宙飛行士やエンジニアたちの役回りを一人のキャラクターに集約しているとのことである。

要はジムのコメントをまとめると、映画的なウソはいくつかあるものの、かなりの部分は忠実に、正確に再現されている、当事者お墨付きの”事実に基づく”一級の娯楽映画だということ。
ということで、映画の裏側を知るとますます何度でも見直したくなってくるのである。

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/3362312/



by odin2099 | 2020-05-20 09:40 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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