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『宇宙から帰ってきた日本人/日本人宇宙飛行士全12人の証言』 稲泉連

「この宇宙で最も美しい夜明け――秋山豊寛の見た『危機に瀕する地球』」
「圧倒的な断絶――向井千秋の『重力文化圏』、金井宣茂古川聡の『新世代』宇宙体験」
「地球は生きている――山崎直子毛利衛が語る全地球という惑星観」
「地球上空400キロメートル――大西卓哉と『90分・地球一周の旅』」
「『国民国家』から『惑星地球』へ――油井亀美也が考える『人類が地球へ行く意味』」
「EVA:船外活動体験――星出彰彦野口聡一の見た『底のない闇』」
「宇宙・生命・無限――土井隆雄の『有人宇宙学』」
「宇宙に四度行った男・若田光一かく語りき」

以上、エピローグを含めて8つの章から構成されたインタビュー集。

立花隆がアメリカの宇宙飛行士たちのインタビューをまとめた「宇宙からの帰還」を上梓してからかれこれ40年近く。これはその姉妹編とでも呼ぶべき一冊である。
あの頃は影も形も存在しなかった”日本人宇宙飛行士”と呼べる存在が、もう12人もいるというのは感慨深い。

『宇宙から帰ってきた日本人/日本人宇宙飛行士全12人の証言』 稲泉連_e0033570_20572977.jpgその一方で物足りなさというか、もどかしさも感じている。
というのはここに登場する彼らはスペースシャトルなどで宇宙へ飛び出し、宇宙ステーションに滞在したとはいえあくまで地球の軌道上、いわば「地球のすぐ上」にいただけなのだ(これは日本人宇宙飛行士だけではないが)。

地球を遠く離れて月を回り、あるいは月面に着陸し滞在したという経験を持つ飛行士たちとは受けたインパクトは相当違うであろうことは想像に難くない。
そのことは立花隆の前掲書にも記されているが、宇宙開発が進んでいるとはいうものの、まだ宇宙という大海の浜辺で水遊び(それとも砂遊びの段階だろうか)を始めたにすぎない。

その点で本書で語られる各飛行士たちの言葉は、かつての立花隆の著作で触れられた言葉とそう大きく変わるものではなかった。
40年近く経ちながらも人類は、その先に進むことが出来なかったのが残念でならない。

今再び人類を月へ、そして火星への有人飛行を、というプロジェクトが進行中であるが、それらが実現した暁には、我々は宇宙を語る新たな言葉を手に入れることが出来るかもしれない。
by odin2099 | 2020-06-18 21:00 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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