『宇宙からの帰還』
2020年 06月 29日
アポロ11号の打ち上げシーンから始まり、アポロ13号の事故を経て、月面着陸に月面探査、そして帰還までを当時の映像でまとめている…のだが、著しく違和感が。

そして関連書籍や周辺への取材に基づく宇宙飛行士たちの内面へ迫る、という内容だからだ。
特に宗教や哲学へのこだわりは非常に興味深く、かつスリリングなのだが、映画ではそのあたりがごそっと抜け落ちてしまっている。
”原作”では実際の宇宙旅行の過程や、実現へ至るまでの技術的な側面などは二の次で、中心を占めるのはあくまでも”人間”なのである。
アラン・ビーン、スコット・カーペンター、ジーン・サーナン、マイク・コリンズ、ピート・コンラッド、ジム・アーウィン、ジム・ラベル、エド・ミッチェル、ハリソン・シュミット、ウォーリー・シラー、ラッセル・シュワイカートと、この映画でも多くの宇宙飛行士たちが登場するが、宇宙飛行の即物的な感想を述べるに留まり、内面を吐露する場面は殆どない。
これでは何のための映画化だったのか。
当時のパンフには製作時の苦労話が延々と載っているが、ネガティヴな記述が目立ち、苦労話というよりは愚痴ばかり。
難産だったことは察せられるが、もう少し何とかならなかったものか。
<過去記事>
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