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『もののけ姫』

今回のジブリ作品の特別上映は完全にスルーするつもりでいたんだけど、Twitterのフォロワーさんが結構見に行っているもんで、その反響を見ていったら段々と気になってきたので結局劇場へ。

映画館で見るのはもちろん公開当時以来。
公開初日の朝っぱら劇場へ出かけたものの、開場前に大行列が出来ていたので断念。
その一週間後にリベンジで見た思い出がある。

あの頃は全席指定の入れ替え制なんてものは一般的じゃなく(指定席券は高かったし)、先売りなんてものもなかったので、良い席で見たいとなれば早朝から並ぶっきゃなかったワケで。
その前のアニメブーム勃興期は、前日から徹夜で並ぶのも当たり前なんて時代だったけど、流石にこの頃はもうそこまでのパワーはなかったものの、ちょうどこの作品の頃からスタジオジブリが一般作品として認知されてきてたので、客足は好調だった、というコト。

しかしこのお話って、結局のところアシタカがイケメンだから成り立ってるんだなあ。

『もののけ姫』_e0033570_16132262.jpgイケメンだからタタラ場の女性たちにすんなり受け入れられ(男性陣は当初かなり胡散臭い目で見てたのに対し)、サンを庇ってエボシと対立し、事実上の裏切り行為を働いたに等しい形で去って行った後でも、危機を知らせに戻るとエボシへの伝言を頼むくらい信用して貰えてる。

サンだって、シシ神さまが生かそうとしたんだからとなんだかんだ理屈をつけたものの、アシタカを好ましく思ったからこそ剥き出しの敵意を封じて救ったのだ。
じゃなきゃいくら弱ってるからといって、口移しで食べ物を与えるような献身的な態度を取るものだろうか。

エボシだって、仲間を助けてもらったからという純粋な感謝の気持ちだけでアシタカを迎え入れたのかどうか。

その当のアシタカにはその自覚は全くない。天性のたらしだから始末に悪い。
故郷を後にする際に妹(兄様と呼んでるものの、どうやら事実上の許嫁のような存在らしい)から託された形見の品を、惜しげもなくサンに渡してしまうなんて、うっかりとかいうレベルではない。

映画のラストでアシタカは別れ際に「自分はタタラ場で暮らす」そして「時々会いに行く」とサンに告げるのだが、これはタタラ場の人たちが自分を快く受け入れてくれるということと、サンが自分を待ってくれていることという二つの条件が成立していることが前提なのだが、どちらか一つもしくは両方が成立しない可能性は考えもしていない。

あれだけ大掛かりな騒動があれば森は以前の森ではなく、タタラ場も以前のタタラ場ではないはずで、両者が共存とは言わないまでも、中立を保って、あるいは不干渉という形であの場所で暮らしていくのは難しいのではないかと思われるのだが、その理想主義が単なる絵空事に思えないハッピーエンドに感じさせてくれるのが、おそるべきアシタカのイケメンパワーなんだろう。

【ひとこと】
当時から気になってたけれど、この作品の豪華な出演陣、”声の芝居”としては相当酷いなあ。
おまけにエフェクトかかってる場面も多く、台詞が碌に聞き取れないことも。
やはり餅は餅屋ということで。

<過去記事>



by odin2099 | 2020-07-06 20:37 |  映画感想<マ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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