『空飛ぶゆうれい船』
2020年 07月 17日
これが50年以上前の作品とは。

そして少年には出生の秘密があり、その背景には全てを喪った男の復讐劇が。
かの『巌窟王』の如きピカレスク・ロマンの香りも漂う。
その一方で痛烈な風刺を孕んだ社会派サスペンスの側面も持ち、主人公たちが敵対するのは<黒い幽霊団>にも通じる正体不明かつ人類が産み、育ててしまったともいえる巨悪であるあたりもいかにも石ノ森章太郎らしい。
作画面でも『サイボーグ009』の頃とは比較にならないほど石ノ森章太郎タッチを再現し、ロボットアニメブームを先取りしたかのような巨大ロボとスーパーウェポンとの一大決戦シーンは手に汗握る迫力。
敵かと思えば味方、味方かと思えば敵。
善悪入り乱れての怒涛の展開も、もはや上映時間が僅か1時間とは思えない充実ぶり。
無条件に血沸き肉躍る冒険譚はいつの世にも必要だと思うが、令和の時代に斯様な浪漫劇を蘇らせようと野心を抱く猛者が何処かにいないだろうか。
<過去記事>

とーあに!これくしょん3本まとめて。 ◆『ながぐつ三銃士』渋谷TOEI② 五つ星評価で【★★いきなり西部劇】 1972年、カラー、53分、初見。 「ながぐつ三銃士」って長靴を履いてるのペロだけやん。それにしても前回の剣と魔法の話の続きが何で西部劇になったのだろう。ペロ自身が素晴らしい特技を持っている訳でもないのに(ないよね)、フーテンらしき青年を見下したような言動するのが、どうにもカチンと...... more

あの娘、劇中では名前も呼ばれないんじゃなかったっけ。
1時間半くらい上映時間があったら、もっと彼女も掘り下げられたのに。
船長に助けられた孤児ではなく、逃げのびた隼人の姉とかでも良かったな。