『スパイダーマン/ホームカミング』
2020年 07月 18日
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で再デビューを飾ったスパイダーマンを主人公にした物語。
と同時にこれは「アイアンマン」の物語でもある。
「ロッキー」シリーズが完結したあと、ロッキー・バルボアの物語が「クリード」シリーズに引き継がれたように、この作品でも”ある決断”をしたトニー・スタークの”その後”が描かれる。
いわば形を変えた「アイアンマン4」と言っても良いかもしれない。
と同時に、先々の展開に色々なものを投げかけた作品にもなっている。
元々<MCU>を作っているマーベルスタジオ=ウォルト・ディズニーは「スパイダーマン」の権利を有していない。「スパイダーマン」の権利を有しているのはソニーなのだ。
そのソニーとディズニーの話し合いの結果マーベルスタジオはソニーのために「スパイダーマン」の映画を作ること、その代わりに<MCU>世界にスパイダーマンを登場させることで合意し、「シビル・ウォー」でのお披露目を経て、ソニー映画でありながら<MCU>でもあるこの作品が誕生した。
その一方でソニーは単独で<SUMC(Sony`S Universe Of Marvel Characters)>を展開。
これは簡単にいえば「スパイダーマンのいないスパイダーマン世界」を舞台にしたソニー独自のユニバースで、その第一弾となる「ヴェノム」がスマッシュヒット、その続編も準備中だ。
ソニーとしてはゆくゆくはヴェノムをスパイダーマンと共演させたい意向があるのだが、今のところ<MCU>と<SUMC>は別の世界。単純にコラボさせるというわけにはいかなかった。
ところが「スパイダーマン」映画の2作目を作ったところで両社は決別。スパイダーマンの権利はソニーに戻り、<MCU>からスパイダーマンは去ることになってしまう。
そこへ割って入ったのがピーター・パーカー役のトム・ホランド。
双方のトップに直談判し、どうにかこうにか決裂という最悪の事態は回避され、「スパイダーマンは複数のシネマティック・ユニバースを行き来できる唯一のヒーローだ」と発表されるに至る。
結果的にスパイダーマンは<MCU>と<SUMC>、どちらにも登場できるようになったのである。
「ヴェノム」に続く<SUMC>の第2弾は「モービウス」。
その予告編には本作のヴィラン、ヴァルチャーと思しき人物が登場してくる。
ならば「モービウス」は<MCU>と世界観を共有しているのか、それとも似た姿の別人なのか。
既に<MCU>と<SUMC>は融合しているのか、謎は残る。
また「スパイダーマン」映画の2作目「スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム」には「スパイダーマンの天敵」とでもいうべきJ・ジョナ・ジェイムソンが登場しているのだが、演じているJ・K・シモンズはトビー・マグワイヤが主演した「スパイダーマン」三部作でも同役を演じている。
それだけでなくトビー・マグワイヤ自身にも、また続く「アメイジング・スパイダーマン」二部作で主演したアンドリュー・ガーフィールドにも再演の噂が出てきた。
アニメ作品「スパイダーマン:スパイダー・バース」は異なる世界のスパイダーマンが一堂に会する物語だったが、実写作品でもトム・ホランド版のスパイダーマンが複数のユニバースを行き来するだけでなく、異なるユニバースから別のスパイダーマンが合流するという同じ動きがあるのだろうか。
何やらマーベルスタジオ=ディズニーに合流を果たしたX-MENにも似たような動きがあり、単に<MCU>内でX-MENをリブートさせるのではなく、20世紀FOX版X-MENのユニバースとも合流する可能性が囁かれている。
その鍵は”親愛なる隣人”スパイダーマンが握っているのかも。
この作品が公開された頃は、まさかそこまでユニバースが拡張するなんてことは考えも及ばなかったのだが。