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『ホット・ゾーン/エボラ・ウィルス制圧に命を懸けた人々』 リチャード・プレストン

エボラ出血熱に立ち向かった科学者たちを描いたノンフィクション、
と紹介してしまうと、何やら難解な専門用語が飛び交いチンプンカンプン、
予備知識なしの門外漢はお呼びでない退屈な本だとイメージされてしまいそうだが然にあらず。

『ホット・ゾーン/エボラ・ウィルス制圧に命を懸けた人々』 リチャード・プレストン_e0033570_21555864.jpg”事件”の発端からこれまでの顛末、そして終焉までを丹念に追った、わかりやすい語り口の良質の小説のような内容である。
実際に読んでいて、これはマイクル・クライトンの「アンドロメダ病原体」のようだなと感じる箇所がしばしば出てくるのだが、あちらはSF小説、そしてこちらは事実に則ったいわば”本物の報告書”である点が大きく違う。

著者のリチャード・プレストンは関係者への徹底した取材を行い、その時その場で彼は・彼女は一体何を考え、どのように行動したかについて迫真の描写を行っているので、あたかも読んでいる自分がその場にいたかのような錯覚、臨場感を与えてくれている。
その”キャラの立ち具合”が、凡百のフィクションを凌駕するほどの面白さを与えてくれているのだろう。

1994年に出版され、2014年に追記を加え再出版されたものが満を持して文庫化。
エボラウィルスと新型コロナウィルスの違いはあれど、これは正に「今読むべき一冊」だろう。
by odin2099 | 2020-08-18 21:56 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
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