『ルパン三世/カリオストロの城』
2020年 08月 30日
この2本、かなりテイストが違うので出来れば別日に見たかったのだけれども、個人的なスケジュールの都合でハシゴと相成った。

初期の作品はヒットに恵まれず、ようやくヒットしたと思ったら今度は”国民的映画監督”扱いされたり、”エコの神様”に祭り上げられたりで、娯楽映画よりもテーマやメッセージ性が重視され、否が応でも周囲からの期待を意識せざるを得なくなり、何だか間違った道をかけ続けるようになった、そんな気がするのである。
まあご本人は、好きなものを好きなように作ってるんだから文句言うな、と仰るかもだけど。
で、この作品には問答無用で老若男女が愉しめる要素が一杯詰まっている。
少年と少女、ではなく中年オヤジと少女が主人公の冒険活劇で、少女はとにかく純情可憐な美少女で問答無用で守ってあげたくなる存在。
悪い奴は徹底的に卑怯でずる賢くて悪い。
そして主人公の目的は少女の解放とお宝さがし。
唯一の欠点は、メインキャラクターがルパン三世とその一味という手垢のついた存在で、これがルパン抜きの完全オリジナル作品だったらどんなに良かっただろう。
まあそれを一歩進めたのが『天空の城ラピュタ』ってことになるのだけれど。
それにしてもこの作品はあまりにも出来過ぎた。
この作品以降の長編『ルパン三世』は、殆どこの『カリストロの城』の呪縛から無縁ではいられなかった。
『カリオストロの城』的なもの、あるいは『カリオストロの城』的ではないもの、いずれにせよこの作品が一つの尺度になってしまったのだ。
その呪縛を解くためにはこの作品をリメイクするか、あるいは禁断の”続編”に手を染めるしかないのではなかろうか。
どちらにせよその作品はかなりの非難を浴びるだろう。
だがそこまで思い切ったことをしなければ、その壁は超えられそうもない。
既にこの作品が作られてから40年以上の歳月が過ぎているのだから。

以前に、NHKの密着番組だったかな?
何かの映画の公開前に、
宮崎駿監督に密着していて、
その番組の中で記者が
「今度の映画のテーマは?」と聞いたら、
「そういうのは見る側が考えることで、
作る側はそんなの考えてないよ。」
そう言っていたのが印象深い。