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『甲子園/フィールド・オブ・ドリームス』(2020)

2018年、夏の甲子園100回記念大会。
この大会に挑む二つの高校、神奈川県の横浜隼人高校と、岩手県の花巻東高校の春から夏へ密着取材。
元々は「高校野球という日本独自の文化を海外に紹介したい」という想いから日米の国際共同制作作品として作られた、NHKのドキュメンタリー番組を再構成したものらしい。
海外で評判を呼び、春も夏も甲子園が中止になってしまった2020年に、日本での凱旋公開と相成った。

『甲子園/フィールド・オブ・ドリームス』(2020)_e0033570_20523568.jpg花巻東高校の佐々木監督はメジャーリーガーの菊池雄星や大谷翔平を育てたことでも知られるが、かつては横浜隼人高校で水谷監督の元でコーチを務めたといういわば愛弟子。
そして今はその花巻東高校で水谷監督の息子を選手として預かる立場でもある。
片や水谷監督は徳島池田高校の故・蔦監督の薫陶を受けた、自称「昭和のガンコ親父」。
この二人の指導者を対比させながら、横浜隼人ではキャプテンと、レギュラー入りボーダーラインにいる二人の三年生、そして花巻東では水谷監督の息子といった球児たちにもスポットを当てている。

昔ながらの伝統的な指導法と、新しい時代に即した柔軟な指導法、そして球児たちへの接し方などの苦悩や葛藤の中で迎えた夏の大会の地区予選。
強豪相手とはいえ横浜隼人はまさかの初戦敗退。
一方の花巻東は甲子園出場こそ果たしたものの、やはり甲子園では一回戦で姿を消した。
その瞬間からチームは来季を見据えて再始動する。
カメラはその姿を淡々と描写するのみ。

せっかく球児にもスポットを当てたのだから、彼らの本音の言葉を今少し聞きたかったものだが、「ベースボール」ではない「野球」の、そして「甲子園」という存在の重みとその”魔力”が、少しでも海外の人たちに伝わっただろうか。


by odin2099 | 2020-09-17 20:55 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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