『映像研には手を出すな!』(2020)
2020年 09月 26日
当初は5月公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け約4カ月延期になった。
脚本・監督は英勉。

映画冒頭には新撮シーンも交えてドラマのダイジェストが付くので、ドラマを見ていなくても(多分)大丈夫。
――なのだが、肝心の映画本編がなあ。
これ、いきなり映画を見に行くか、さもなきゃドラマだけ見て映画を見に行ったのならもっと単純に楽しめたろうに、と思う。
元々はこの映画版の情報を知って「面白そうだな」と思い、珍しく原作漫画を読み、評判の良かったアニメ版を見ちゃってから実写版を見たので、その落差にビックリ。
そういやSNSでの実写版ドラマの評判は良くなかったっけ、と思いかえしたけれど後の祭りだった。
我が儘勝手で人をイラつかせる浅草氏、天真爛漫と言うよりかなりKYな水崎氏、終始不機嫌で怒鳴ってばかりの金森氏……電撃3人娘はそんなキャラじゃないのに。
ルックス面では水崎氏と金森氏は結構寄せてきてるので許せるのだが、浅草氏はどうあっても浅草氏には見えない。齋藤飛鳥では可愛らし過ぎるのだ。
もちろんアイドル映画としては彼女の起用は間違いじゃないので、なまじ原作を知っちゃってる分ジレンマがあって、予備知識を仕入れなかった方が良かったなあと後悔している自分がいるのである。
お話の方もドラマ版ほど余計な要素を取り込んで膨らませてはおらず、ドラマ版に比べれば原作に多少は近いかなとは思うものの、力点をそこに置くか?!といったバランスの悪さは感じさせる。
原作だと意外に(?)陰でメンバーを支えている藤本先生は、単なる賑やかしの使えないヤツでしかないし、オリジナルキャラの晴子に扮した浜辺美波は何をしに出てきたのやら。
なんせこの晴子さん、本筋には全く絡まないし、主人公3人組とも一切接点なし。彼女の出番を削っても全く問題ないのだ。
カメオならカメオらしくもっと使い道があったろうに、多忙なスケジュールの合間を縫っての出演だったようだがこれじゃ全くの無駄遣いだ。
ともあれ「ドラマイズム」枠の作品は続編が作られることも多々あるので、今回の映画がヒットしたら続きがドラマや映画で見られるかもしれない。
原作はまだまだ続いているんだし、このまま捨てるにはあまりにも惜しい要素や可能性は感じられるし、その暁にはいっそのこと、独自の世界に思い切って振り切って欲しいもんだ。そうすればこっちも原作忘れて楽しむことが出来そうだし。
ところで余談だが、一番原作のイメージにソックリなのはさかき・ソワンデ役のグレイス・エマだろう。
これが演技初経験とは思えない堂々とした存在感があるが、実年齢が14歳なのも更に驚き。
メインキャストの殆どが実年齢より”年下の”高校生を演じてるのに対し、彼女だけは”年上の”高校生を演じているのだ。