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『映像研には手を出すな!』(2020)

今年の1月~3月はNHK総合でアニメ版が放送され(全12話)、次いで4月~5月にかけてはMBS系列の深夜枠「ドラマイズム」で実写ドラマも放送された(全6話)大童澄瞳の人気漫画を実写映画化したもの。
当初は5月公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け約4カ月延期になった。

「ドラマイズム」で放送されたドラマは『闇金ウシジマくん』、『咲/Saki』、『笑う招き猫』、『伊藤くんA to E』、『賭ケグルイ』、『わたしに××しなさい!』、『覚悟はいいかそこの女子。』など映画と連動しているものも多く、これもそんな一本。
テレビドラマの続編で、今度は原作の第2巻がベースになっている。

脚本・監督は英勉。
『映像研には手を出すな!』(2020)_e0033570_20262152.jpg映像研の3人――浅草みどり、水崎ツバメ、金森さやかはそれぞれ齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波と乃木坂46のメンバーで固められ、生徒会役員の道頓堀透には小西桜子、さかき・ソワンデにグレイス・エマ、阿島九は福本莉子、王俊也に松﨑亮という配役。
音響部の百目鬼には桜田ひより、ロボ研メンバー小野に板垣瑞生、小林に赤楚衛二、小鳥遊に染野有来、小豆畑に亀田侑樹が配され、水崎家の使用人・黒田に鈴之助、麻笠に出合正幸、そしてツバメの両親は松本若菜と山中聡が演じている。
更に気象研究部員の晴子役で浜辺美波、映像研の顧問である藤本先生として髙嶋政宏が出演。

映画冒頭には新撮シーンも交えてドラマのダイジェストが付くので、ドラマを見ていなくても(多分)大丈夫。
――なのだが、肝心の映画本編がなあ。
これ、いきなり映画を見に行くか、さもなきゃドラマだけ見て映画を見に行ったのならもっと単純に楽しめたろうに、と思う。

元々はこの映画版の情報を知って「面白そうだな」と思い、珍しく原作漫画を読み、評判の良かったアニメ版を見ちゃってから実写版を見たので、その落差にビックリ。
そういやSNSでの実写版ドラマの評判は良くなかったっけ、と思いかえしたけれど後の祭りだった。
我が儘勝手で人をイラつかせる浅草氏、天真爛漫と言うよりかなりKYな水崎氏、終始不機嫌で怒鳴ってばかりの金森氏……電撃3人娘はそんなキャラじゃないのに。

ルックス面では水崎氏と金森氏は結構寄せてきてるので許せるのだが、浅草氏はどうあっても浅草氏には見えない。齋藤飛鳥では可愛らし過ぎるのだ。
もちろんアイドル映画としては彼女の起用は間違いじゃないので、なまじ原作を知っちゃってる分ジレンマがあって、予備知識を仕入れなかった方が良かったなあと後悔している自分がいるのである。

お話の方もドラマ版ほど余計な要素を取り込んで膨らませてはおらず、ドラマ版に比べれば原作に多少は近いかなとは思うものの、力点をそこに置くか?!といったバランスの悪さは感じさせる。
原作だと意外に(?)陰でメンバーを支えている藤本先生は、単なる賑やかしの使えないヤツでしかないし、オリジナルキャラの晴子に扮した浜辺美波は何をしに出てきたのやら。

なんせこの晴子さん、本筋には全く絡まないし、主人公3人組とも一切接点なし。彼女の出番を削っても全く問題ないのだ。
カメオならカメオらしくもっと使い道があったろうに、多忙なスケジュールの合間を縫っての出演だったようだがこれじゃ全くの無駄遣いだ。

ともあれ「ドラマイズム」枠の作品は続編が作られることも多々あるので、今回の映画がヒットしたら続きがドラマや映画で見られるかもしれない。
原作はまだまだ続いているんだし、このまま捨てるにはあまりにも惜しい要素や可能性は感じられるし、その暁にはいっそのこと、独自の世界に思い切って振り切って欲しいもんだ。そうすればこっちも原作忘れて楽しむことが出来そうだし。

ところで余談だが、一番原作のイメージにソックリなのはさかき・ソワンデ役のグレイス・エマだろう。
これが演技初経験とは思えない堂々とした存在感があるが、実年齢が14歳なのも更に驚き。
メインキャストの殆どが実年齢より”年下の”高校生を演じてるのに対し、彼女だけは”年上の”高校生を演じているのだ。


Tracked from 或る日の出来事 at 2021-11-23 08:59
タイトル : 「映像研には手を出すな!」
アニメ化のときは途中で見るのをやめた。... more
by odin2099 | 2020-09-26 20:35 |  映画感想<ア行> | Trackback(1) | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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