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『ネバーエンディング・ストーリー第2章』(1990)

ミヒャエル・エンデの『はてしなき物語』を映画化した『ネバーエンディング・ストーリー』の続編。

『ネバーエンディング・ストーリー第2章』(1990)_e0033570_08071155.jpg前作で大きく成長を遂げたかに思えたバスチアンだったが、母の死がトラウマになっていて父との関係もギクシャクし、臆病な少年のままだった。
そんな時に立ち寄ったオリバンダーの古書店で、幼ごころの君からの助けを求める声に導かれて再び本を手にする、というのが発端部分。
今度はファンタージェンを襲う”空っぽ”と対峙することに。

前作は原作の前半部分に独自の結末をつけたものだったが、今回は後半部分をベースにしているものの、大筋は兎も角として、殆どオリジナルストーリーと言ってもいいくらい。
また前作から5年以上経っているために、バスチアン、幼ごころの君、アトレーユの主役トリオは全員交代(オリバンダーさんだけ続投)。
更にファルコンやロックバイターもデザインが変更されているので、これじゃあ”続編”と言われてもあまりピンとこない。
それよりも前作の時に製作サイドと原作者のエンデが裁判沙汰にもつれ込んだのに、よく続編が実現したなあという方がオドロキ。
結局3作目も実現することになるのだが。

今回も物語は現実世界と本の世界の二重構造で、バスチアンが早々に本の世界に入ってアトレーユたちと冒険を繰り広げるので、今回現実世界で本を読むのはバスチアンの父親。
最後には父親の励ましを受けてバスチアンは見事に恐怖心を克服する、というハッピーエンドなのだが、この親子の対立というか断絶がさほど深刻な状態には思えず、またその和解も一つのミッションをやり遂げた達成感や高揚感のなせる技のようにも思え、取って付けた感があるのは否めない。

公開された当時はそれなりに愉しんだ記憶はあるのだが、改めて見直すと薄っぺらい映画だなあという感想しか出てこなかった。
ただエンデ自身は前作よりは評価してたようで、それは裁判で負けて多少丸くなったか、あるいは諦念の境地に達したからなのかもしれない。



by odin2099 | 2020-10-11 08:08 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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