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『スリープウォーカーズ』(1992)

『スリープウォーカーズ』(1992)_e0033570_09324865.jpg清純な処女の生気を吸い取ることで生き永らえている魔物<スリープウォーカー>。
その最後の生き残りであるメアリーとチャールズ母子は、新たな獲物を求めて街へとやってきた。
転校先の学校の同級生である美少女タニヤにターゲットを絞ったチャールズは、言葉巧みに彼女を誘い出す。
タニヤもまたハンサムなチャールズに心惹かれるが、デートの最中に本性を現したチャールズに襲われ、駆けつけた警察官が犠牲となる中でチャールズに怪我を負わせ、辛くも逃げ出す。
それを知ったメアリーは激怒し、タニヤの両親や警官たちを蹴散らしタニヤを浚っていくのだった。

スティーブン・キングの脚本をミック・ギャリスが監督したホラー映画。
といっても残酷な場面はあるものの、殆ど怖くない。
チャールズ役のブライアン・クラウズは嫌みのない二枚目を演じ、ゴージャスな美女メッチェン・アミックは、派手な見た目とは裏腹に奥手なタニヤをキュートに好演し、さながらさわやかな青春映画、恋愛モノのカップルのよう。
これにメアリー役のアリス・クリーグが妖艶な魅力を添える。

他にジム・ヘイリーやロン・パールマン、シンディ・ピケット、ライマン・ウォードが出演。
更にはキング自身やジョン・ランディス、ジョー・ダンテ、クライヴ・バーカー、トビー・フーパー、それにマーク・ハミルらがカメオ出演しているなど、ジャンルファンにはかなり豪華なキャスティングだ。

チャールズとメアリーは恋人同士のような仲良し母子なのだが、のっけから普通にキスシーンどころかベッドシーンもあり。
これは吸い取った生気を分かち合うための儀式のようなものらしいのだが、種族の最後のつがいである二人はやはり恋人同士であり、一種のエディプスコンプレックスの発露と見るべきか。

獣人から人間態へ擬態し、怪力を持ち、姿を消すこともできるという超人的な能力の持ち主である<スリープウォーカー>だが、その弱点は猫。
猫の前ではその能力を上手く発揮できないために、猫を捕らえる罠を仕掛け、残酷に殺すシーンもあるのだが、最後には猫の集団に襲われてあっけない最期を遂げる。

猫は可愛いのだが、一方で虐待シーンもあるのでちょっと複雑な気分にさせられるし、母子相姦のシーンはキツいと感じる人もいるだろうが、怖いというよりどこかコミカルなエンタメ性や、主人公が虐げられ滅びゆく種族の末裔というロマン性などなどもあって結構好きな作品である。
凡そ四半世紀ぶりに見直したのだが、今回も愉しめた。


by odin2099 | 2020-10-24 09:35 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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