人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『スーパーマン』(1978)

昨年久々に見直してみて、その際にサイトの方へ感想を書きましたので、今回改めて見直しても特別付け加えることはないのだけれども、どっしりと構えた実に堂々たる大作映画だなぁということは改めて感じましたね。
この作品の上映時間は2時間20分ほどですが、切り詰めれば2時間弱で充分収まりそうな内容。そこを敢えてゆったりと描くことによって、作品全体に風格が生まれてきているように思います。今の世の中ではそれは許されない贅沢なのかも知れませんが。

『スーパーマン』(1978)_e0033570_124566.jpg今夏は久しぶりに新作映画が公開されます
28年経って再び描かれるスーパーマン誕生の伝説が如何なるものになるのか、不安もありますが楽しみでもあります。

  * * * * *

「しねま宝島」より転載
テレビで放送された際にチラホラ見ていたことはあったけれども、最近(でもないか)中古屋さんでLD(しかも未開封!)を安価で手に入れたこともあって、久々に見なおした。
実はDVDも持っているけれど、あれは10分近く長い<ディレクターズ・カット版>なので、映画館で見たヴァージョンが見たければビデオかLDを探すしかないのだ(他にもアメリカのTV放映用再編集版など、この映画には何ヴァージョンか存在するらしい)。

というわけでほぼ四半世紀ぶりの鑑賞と相成ったが、物語の運びや場面なんかは案外覚えているもんだなあと感心。見るまでは2時間20分ものランニング・タイムは辛いかなと心配していたが、途中で弛れることなく最後まで楽しんだ。

見ていて感じたのは、スーパーマンとクラーク・ケント、クリストファー・リーブの演じ分けが実に見事なこと。これなら劇中人物が、この一人二役を見破れなくても無理はないかなという説得力がある。かえすがえすもリーブの早過ぎる物故が惜しまれる。
それに意外だったのは、スーパーマンの誕生まで凡そ50分、そして本格的な活動開始まで約半分もの時間がかかっていたこと。
もっとスーパーマンの出番が多かった印象が残っていたのだけれども、ヒロインのロイス・レーン、編集長のペリー・ホワイト、カメラマンのジミー・オルセンといったデイリー・プラネット社のいわゆるレギュラー・メンバーが登場するのも後半からだし、悪役のレックス・ルーサーが陰謀をめぐらすのも後半だけだ。
ただ出てきた途端に彼らはずっとストーリーに関わり続け、しかも終盤はスーパーマン大活躍!となるので見終わった後では出番が少ないという印象は拭い去られるようだ。
それに最初からパート2の製作が決まっていて、一部は同時進行で撮影していたというから、端から今回はキャラクターの紹介にとどめ、実質的な大冒険は2作目でという心積もりもあったのだろう(それで映画の冒頭ではクリプトンの三悪人が登場し、思わせぶりに退場させられている)。
昨今の映画事情だと、よほどのことがない限りシリーズの1作目といえども、ここまでゆったりとした展開は望めないだろうが。

ただ楽しんだとはいっても、当時からどうしても納得がいかないのはクライマックスのシーン。
ロイスを救えなかったスーパーマンは、そのパワーを使って地球を逆回転させる。すると時間も反対に回りはじめ死んだはずのルイスは、その直前に助かるという寸法なのだが、まぁ確かにマンガといってしまえばその通りだが、あまりにも安易すぎるというか、突拍子もない。これさえなければ個人的評価はもっと高かったのだが・・・。

ビジュアル面ではスーパーマンの飛行シーンを売りにしていたが、映画館の大スクリーンでスーパーマンを吊ったワイヤーが見えた瞬間は、わかっていてもガックリきたものだった。今回はTV画面なのでそれほど目立たなかったのだが、むしろ気になったのはスクリーン・プロセスの多用。合成の場面もそうなのだが、画面の色調が著しく違っているので浮いて見えてしまうのと、金をかけた大作のクセに妙にせこく思えるのが興醒めである。元々予算を押えるために用いられる手法だし。当時の技術ではここまでが限界だったか、というと必ずしもそうではないので、ここはもう少し気合を入れて欲しかったポイントだ。
一方では、スーパーマンが飛び去って行くのを見送ったロイスを、今度はクラークが訪れるというシーンを、カットを割らずにワン・ショットで捉えるという場面もあり、なかなか唸らされる。

Tracked from 犬神狂介の【狂人日記】・.. at 2006-03-06 23:34
タイトル : スーパーマン
【66点】 ●クリストファー・リーブ主演作品。 アメリカのセックス・シンボルがマリリン・モンローであるように、スーパーマンはまさしく「ヒーローの代名詞」である。 この作品は、いわば『誕生編』で、半分くらいが「スーパーマンが地球にやって来た経緯」と幼 年期~少年期のエピソードの紹介に費やされている。 つまり、ドラマ的な要素が少なく、約半分は「あらすじ」のよーなモノだ。 だから、何回も繰り返して見るのは、ちょっとツラい。 それでも、後半だけで、これだけ見せるのは素晴らしい。 まさに王道...... more
Tracked from 風に吹かれて-Blowi.. at 2006-04-10 17:11
タイトル : #425 スーパーマン
製作総指揮:イリヤ サルキンド 製作:ピエール・スペングラー 監督:リチャード・ドナー 原案:マリオ・プーゾ 脚本:マリオ・プーゾ、デイヴィッド・ニューマン、レスリー・ニューマン 、ロバート・ベントン 撮影:ジェフリー・アンスワース SFX:コリン・チルヴァース、スチュアート・フリーボーン 音楽:ジョン・ウィリアムス 美術:ジョン・バリー 編集:スチュワート・ベアード 衣装(デザイン):イボンヌ・ブレイク 出演者:クリストファー・リーブ 、ジーン・ハックマン 、マーロン・ブランド...... more
Tracked from 映画鑑賞★日記・・・ at 2006-08-22 21:35
タイトル : スーパーマン
『SUPERMAN』公開:1979/06監督:リチャード・ドナー出演:クリストファー・リーヴ、マーゴット・キダー、マーロン・ブランド、ジーン・ハックマン☆story☆ 滅亡の危機に瀕していた惑星クリプトンから、ひとり地球へ脱出させられた赤ん坊。クラーク・ケントと名付けられた....... more
Tracked from OmuhaCinema at 2006-08-23 12:06
タイトル : スーパーマン
 誰かが助けを求めるとき、彼はどこからともなく現れ人々を救う。まるで頭の中に助けを求める人々に反応するレーダーがあるかのように。 それはヒーローもののお約束であるが人々の命を次々と救い,時には悪をこらしめて彼はまさに人に優しいヒーローである。 「あなた何者?」と問われ、彼は「友人さ」と一言。 そう、彼はあらゆる人々の“友人”なのだ。 彼の名は“スーパーマン”、しかしスーパーヒーローの普段は目立たぬマジメな会社員クラーク・ケントなのだ。   彼のオンオフはとてもわかりやすく分かれている。メガネ外す...... more
Tracked from 琴線~心のメロディ at 2006-09-09 20:12
タイトル : スーパーマン ザ・ムービー
【1978年製作】 【ジャンル:SF・アクション】 【観た場所:レンタル・DVD】 面白かった度:★★★★ オススメ度:★★★★ もう一度観たい度:★★★ この作品、私が産まれた年に製作されたんですね。 小学生くらいの頃に、テレビでやっていたのを一度だけ観た記憶があります。 それを今ではDVDで観れるんですから、何とも不思議なものです。 もっと敵をバンバンやっつけていくのかと思いきや、スーパーマンが地球にやって くる前のお話から始まりましたね。 前半の1時間は人との違いを感じながらも、地球人として...... more
Tracked from ヒューマン=ブラック・ボ.. at 2006-09-23 17:12
タイトル : 映画のご紹介(175) スーパーマン(1978年)
ヒューマン=ブラック・ボックス -映画のご紹介(175) スーパーマン(1978年)-28年ぶりに観たスーパーマンは やっぱり、すがすがしいヒーローだった。 8月19日から「スーパーマン リターンズ」が公開されている。 クリスト....... more
Tracked from しょうちゃんの映画ブログ at 2006-10-10 01:29
タイトル : 映画「スーパーマン」
「オーメン」のリチャード・ドナー監督作品。銀河のかなた、惑星クリプトンから地球にやってきた超人、スーパーマンの活躍を描く。ストーリーも分かりやすくて面白かったです。スーパーマンの誕生から青年時代、そして活躍までを丁寧に描かれています。ジョン・ウィリアム...... more
Commented by F20! at 2006-03-08 09:06 x
先代のスーパーマン、クリストファー・リーブ氏の奥さんのダナさんも亡くなられたそうです。
肺ガンとYahoo!ニュースにはありましたけど、旦那さんを追いかけて行っちゃったのかなぁ。
合掌
Commented by odin2099 at 2006-03-08 23:17
ニュース見ました。
まだ44歳なんですなぁ。
やるせない気持ちになりました。
Commented by chibisaru at 2006-04-10 17:15 x
こんばんは。
昔の映画って長いものも多いけれど、それだけ力強さを感じ、納得しながら見ることができました。
ずーっと見た事がなかったのですが、やはり見ておかないと駄目だろうと思いようやく見たんです。(^o^;
スーパーマンが宇宙人だったことにカルチャーショックを受けたり、なかなか見ごたえがありました。クリストファー・リーブって清潔感のあるヒーローがとてもよく似合っていたと思います。
Commented by odin2099 at 2006-04-10 21:37
今夏の新作は、この1作目と2作目の間に入る(ような)作品なんだそうです。
勿論ストレートに繋がるわけではないでしょうが、その為にこの1作目でのマーロン・ブランドの未使用シーンを使ったり、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲を復活させるんだとか。
去年の『バットマン・ビギンズ』とは、かなりアプローチの仕方が違いますね。
Commented by jamsession123go at 2006-09-23 17:14 x
こんにちは、jamsession123goです。
ブログにコメント&TBありがとうございました。
78年に公開されたときは、ワクワクしてみました。
今観ても、かなり楽しめる映画ですね。
最新作は、今風に実に見事なCGですよ。
是非、観てください。
Commented by odin2099 at 2006-09-23 19:12
jamsession123go様、ようこそ。
ようやく最新作を見て参りました。
徹底的に旧作ファンを意識した作りになっていましたが、あれでは予備知識ない人には若干辛いような・・・?
by odin2099 | 2006-03-06 23:04 |  映画感想<サ行> | Trackback(7) | Comments(6)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30