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『私の夜はあなたの昼より美しい』(1989)

あらすじを読んでもさっぱり理解できない映画というのはあるもんだ。

最初に見た時は「精神異常者と精神感応能力者とのサイコロジカル・ラブストーリー(なんじゃそりゃ?)」なのかなと思っていたのだけれども、どうも違うようだ。

『私の夜はあなたの昼より美しい』(1989)_e0033570_20193208.jpg男はコンピューターの新言語を開発した学者だが、絶え間なく単語を口にしている。
これが幼少期に両親を失ったトラウマから来ているのか、奇病に脳を侵されたことから言葉を忘れてしまうという恐怖に突き動かされてのことか今一つハッキリしない。
またこれも明示されはしないが、どうやらそう長くは生きられないようでもある。

女は他人の過去や未来、裡に秘めた欲望が”視えて”しまう能力を持っているが、これまた幼い頃の家庭内暴力によるトラウマに起因するものらしい。
そしてその能力を使ってショーで成功を収めている。

二人の周囲には一見するとよき理解者、よき協力者に思える人物もいるのだが、その実は自分の都合や利益しか考えない者たちで溢れかえっている。
人一倍繊細な彼・彼女はそのことで疲弊していたのだろう。

そんなタイミングで二人は出会い、一瞬にして惹かれ合う。
互いの内に自分にはないもの、そして自分と共通するものを見出したのだろう。
破滅的な愛の物語がここに始まる。
そして夢とも現実ともつかない幻想的な世界も描き出される。

最後は二人して海へ向かうのだが、これは安らぎを求めてのことなのか、それとも新たなる旅路への出立を意味しているのか。
結局何一つ理解出来ないまま映画の幕は下りてしまった。

出演はソフィー・マルソー、ジャック・デュトロン、バレリー・ラグランジュ、ミリアム・ムジエール、ロール・キリング、フランソワ・ショメット。
脚本・監督はこれがソフィー・マルソーとは二度目のタッグであり、後に私生活上のパートナーとなるアンジェイ・ズラウスキー

人妻役のソフィー・マルソーがとっても愛らしい。
脱ぎっぷりも申し分なし。

by odin2099 | 2020-11-05 20:21 |  映画感想<ワ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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