『ジャッカルの日』
2020年 11月 20日
原作となったフレデリック・フォーサイスの小説も面白いですし、ケネス・ロスが脚色し、フレッド・ジンネマンが監督した映画版も面白い。
両方ともが傑作なんていうのはそうザラにあるもんじゃありません。
上映時間は143分ですが、無駄というものがありません。
そして凄腕のスナイパー”ジャッカル”を演じるエドワード・フォックスも、それを追う敏腕ルベル警視役のマイケル・ロンズデール(先ごろ物故されましたね)も、いわゆるハリウッドスターではない無名の存在だったことが、かえって迫真のドキュメンタリー性を強調する結果になったといえるでしょう。

というより、クライマックス場面が正にその絶頂と言って良いでしょう。
中盤あたりで”ジャッカル”のコードネームを持つ暗殺者の正体が判明し、その線に沿って警察サイドは追い詰めていくのですが、ラストではその件の人物は結局”ジャッカル”とは無関係だったことがわかり、ではこの暗殺者が一体どこの誰だったのか不明なままで終わるのも余韻が残ります。
さてこの映画、終始男臭い映画だったと記憶していたのですが、意外に色っぽいシーンもありました。
まずOASの女スパイとなる女性は、死んだフィアンセが今でも忘れられないという設定ですが、任務のため政府高官に接触し、その男と寝ることで情報を探ることになります。
一方の”ジャッカル”は有閑マダムを誘惑し、同衾します。
これはカムフラージュの為なのかと思いきや、その目的もあったのだとは思いますが、どちらかというと己の欲望を満たすためという気がします。
殺伐とした中でのちょっとした彩といったところですが、どちらも物語内での必然性を伴っていますので、取って付けたような不自然さは感じられません。
そこも皆、計算の上なのでしょう。
サスペンス映画史上の永遠不滅の金字塔です。
ちなみに”ジャッカル”役は、当初ロジャー・ムーアが候補にあがっていたのだとか。
<過去記事>
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