『ジャッカル』(1997)
2020年 11月 29日
ブルース・ウィリスとリチャード・ギアが共演し脇をシドニー・ポワチエが固めた、フレデリック・フォーサイスの小説をフレッド・ジンネマンが監督した「ジャッカルの日」のリメイク。
監督はマイケル・ケイトン=ジョーンズ。
ところが完成した作品にフォーサイスの名前はなく、代わりにあるのは
BASED ON THE MOTION PICTURE SCREENPLAY ”THE DAY OF THE JACKAL” BY Kenneth Ross
つまり、ケネス・ロスの書いた「ジャッカルの日」の脚本に基づいて~という一文。
何やら権利関係等々のゴタゴタを感じさせる。
ゴタゴタといえば当初はブルース・ウィリスとリチャード・ギアの配役が逆だったらしい。
オリジナル版で”ジャッカル”を演じたエドワード・フォックスとルベルを演じたマイケル・ロンズデールのルックスを考えれば、”ジャッカル”がリチャード・ギアでルベルに相当する役がブルース・ウィリスの方が納得いくのだが、結果的にルベルの役回りを二人のキャラクターに分け、片方をシドニー・ポワチエが演じているのでリメイク版なりのオリジナリティは出たことになる。
彼に追われることをむしろ楽しんでいるようにも見えるし、また殺人をショーとして捉えているフシがある。
一方のデクランも、元IRAの闘士という設定は活かされているとも言えない。
”ジャッカル”との因縁も政治や思想信条絡みではないようだし、普通にFBIなりMVDなりの捜査官でも良さそうだ。
もしかするとオリジナル版からのあまりの改変ぶりに、フォーサイスが自分の名前を出すことを嫌ったためにノンクレジットになったのかもしれない。
ところで宿命のライバルのジャッカルとデクランだが、クライマックスでは遂に直接対決を迎える。
しかし同一画面に二人が映ることはなく、あってもどちらかが後ろ姿や体の一部だ。
カットバック処理で緊迫感を高めようとはしているものの、何か不自然にも映る。
ひょっとするとブルース・ウィリスとリチャード・ギアは、現場では一度も顔を合わせていないのではないだろうか。