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『荒野の七人』(1960)

先日「七人の侍」を見ましたので、今度は「荒野の七人」を見ます。
以前は「荒野の七人」→「七人の侍」の順番で見ていますが、今回は逆になりました。

ならず者に蹂躙され困り果てた農民が、僅かながらの報酬で七人の助っ人を雇うという骨格はそのままに、舞台を日本の戦国時代から西部開拓時代のメキシコへ移した物語で、きちんと東宝の許可を得て作られたリメイク作品ですが、実は黒澤監督以下のスタッフには話が通ってなかったとかなんとか。

『荒野の七人』(1960)_e0033570_17435902.jpg主演のユル・ブリンナー以下、ガンマンたちを演じるのはスティーブ・マックイーン、ホルスト・ブッフホルツ、チャールズ・ブロンソン、ロバート・ヴォーン、ブラッド・デクスター、ジェームズ・コバーン、対する盗賊団の頭目はイーライ・ウォラックと錚々たる顔ぶれ。
日本語吹替版も豪華で、小林修、内海賢二、井上真樹夫、大塚周夫、矢島正明、森山周一郎、小林清志 と並ぶと壮観です。
しかしこの作品の頃はブリンナー以外は皆無名だったとのことですが。

時代劇を単純に西部劇に置き換えただけではなく、キャラクターには色々と手を加えられています。
元ネタがハッキリわかる場面も多くある一方で、複数の人物設定を一人に集約させたり、逆に一人の人物の属性を何人かに振り分けたり、またオリジナル版「七人の侍」にはない要素を付け加えたりと製作陣の苦心の跡が窺えます。

また刀と銃の違いもあるのか村を要塞化して迎え撃つというシチュエーションはなく、正面からの撃ち合いに終始してしまっているのでリーダーの策士ぶりはあまり発揮されませんし、彼我の戦力比も分かりづらいのですが、オリジナル版と違い村人の裏切りに遭ってガンマンたちが一敗地に見えるという展開が用意されているのも、何とか新鮮味を出そうという工夫の表れなのでしょう。

正直言うと七人のキャラクターは上手く描き分けられているとは言えない部分もあるのですが(これはオリジナルの「七人の侍」も同様です)、エルマー・バーンスタインの音楽は軽快ですし、白黒映画で雨中の戦いとなってしまった「七人の侍」に比べ、カラー映画で抜けるような青空の元で繰り広げられる決戦の解放感もあるので、オリジナルに劣らず愉しめる一篇だと思います。


by odin2099 | 2020-12-06 17:46 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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