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『忠臣蔵/櫻花の巻・菊花の巻』(1959)

年末と言えば「忠臣蔵」。
という訳で主演:片岡千恵蔵、監督:松田定次の作品を鑑賞。

『忠臣蔵/櫻花の巻・菊花の巻』(1959)_e0033570_18333343.jpg他に大友柳太朗、東千代之介、美空ひばり、大川橋蔵、萬屋錦之介、市川右太衛門、月形龍之介、薄田研二、山形勲、宇佐美淳也、北大路欣也、里見浩太朗、中村嘉葎雄、進藤英太郎、大河内傳次郎、木暮実千代、長谷川裕見子、丘さとみ、大川恵子、桜町弘子、花園ひろみ、植木基晴、植木千恵、千原しのぶ、花柳小菊らが顔を揃えた「東映発展感謝記念」と銘打たれた東映オールスター総出演の忠臣蔵映画で、『櫻花の巻』、『菊花の巻』の二部構成で3時間超の大作。

千恵蔵の内蔵助に錦之介の内匠頭、吉良上野介は進藤英太郎という配役で、東千代之介が岡島八十右衛門、大川橋蔵が岡野金右衛門、大友柳太朗が堀部安兵衛で脇を固め、市川右太衛門は脇坂淡路守を演じている。
千坂兵部は山村聡。
北大路欣也は右太衛門ではなく、千恵蔵の息子役(大石主税)だ。

前半は内匠頭が勅使饗応役に選ばれるも、度重なる上野介の振る舞いに堪忍袋の緒が切れ刃傷に及び、切腹。
急を知らされた赤穂の国元の一騒動と、城明け渡しまで。
畳替えのエピソードはあるが、市井の人々の動きは殆ど描かれない。

右太衛門が脇坂淡路守なので、刃傷の直後に何の説明もなく味方面をして出てくるのは説明不足で不親切だ。
後になって内蔵助の台詞で淡路守と内匠頭が仲が良かったとフォローは入るのだが。
またこの直後に上野介の息子である上杉綱憲が出てくるのだが、演じているのは中村嘉葎雄。
兄の錦之介によく似ているので一瞬混乱する。
また既に錦之介が大スターだったからなのか、内匠頭の切腹のシーンがかなり長い。

後編は内蔵助の京都での放蕩三昧の場面から始まる。
敵を欺くには先ず味方から。血盟の同志たちは一度は疑うものの、説明されるとすぐに納得して指示に従う。
内蔵助の周囲を窺う吉良方(上杉方)の密偵の存在も描かれるが、千坂兵部も最後まで内蔵助の真意を測りかねていた。
知者として名前は上がるが、千坂の物語上の比重は軽い。

討ち入りまでには多くの同志が脱落していくが、彼らの普段の生活や苦悩が描かれることはなく、ただ誰某が逃亡したというような形で名前が出てくるだけである。
そしていよいよ討ち入り。
吉良邸に乗り込む場面そのものは割とあっさりと描かれるが、ここで美空ひばり扮する女中が奮闘。
かねてより吉良邸に潜入して屋敷の見取り図などを用意するなどしていたが、討ち入りが始まると燭台に火を灯し上野介の寝所へ案内するなどMVP級の活躍だ。

そして凱旋の場面で映画は幕を下ろす。
チョイ役にもスター級の俳優が当てられてはいるものの、その殆どは顔見せに終始していて深く掘り下げられることはない。
カメラは常に内蔵助基本。
群像劇のようでありながら、スター映画。
そういう意味では間違いなく「主演:片岡千恵蔵」の映画である。


by odin2099 | 2020-12-10 18:36 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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