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『シンドバッド/虎の目大冒険』(1977)

『シンドバッド/虎の目大冒険』(1977)_e0033570_11480458.jpg先王が亡くなりカシム王子が王位を継ぐことになったのだが、その即位の式の席上カシムは呪いの力でヒヒの姿に変えられてしまう。
我が子ラフィを王位に就けようと企む継母である魔女ゼノビアの仕業だった。
そんな折、旧友カシムに会うためにシンドバッドが久々へ都へやってきた。
彼は再会したカシムの妹ファラー姫から窮状を聞くと、カシムを元の姿に戻すべく伝説の賢人メランシアムに助力を乞うべく、ヒヒの姿にされたカシムやファラー姫を連れて再び出港する。
ようやくメランシアムと出会ったシンドバッドは、彼とその娘ディオーネを仲間に加え、呪いを解く手段を求めて極北の神殿へ向かうが、その一行をゼノビアとラフィが執拗に追いかけていた。

シンドバッド/7回目の航海』、『シンドバッド/黄金の航海』に続くハリーハウゼンの<シンドバッド>三部作の完結編。
…と言われているが、結局ハリーハウゼンが引退宣言してしまったために実現しなかったものの四作目の企画は存在し、その後ハリーハウゼン抜きでも続編だかリメイクだかの話は出ていた(一時はキアヌ・リーブス主演で製作、と報じられたことも)。
ネタ切れのハリウッドのこと、何れシリーズ復活の報がまた流れてくるかもしれない。

一作目と二作目の間は16年も空いたが、二作目とこの三作目の間は僅か3年だが、シンドバッド役はジョン・ウェインの息子パトリック・ウェインに交代。
ヒロインのディオーネ役はタイロン・パワーの娘タリン・パワーなので、二世俳優同士の共演が話題になった。

もっとも実際のヒロインはファラー姫を演じたジェーン・シーモアの方で、シンドバッドの恋人というポジションなので最初から最後まで出ずっぱり。
物語上の比重も高く、『007/死ぬのは奴らだ』に出演した後なので彼女の方がキャリアも長く格も上のように思うのだが、何故かクレジットはタリン・パワーの方が先だ。

他にマーガレット・ホワイティン、パトリック・トラウトン、カート・クリスチャン、ナディム・サワラ、サラミ・コーカー、ダミアン・トマスらが出演。
監督はサム・ワナメーカー。

部下はよく働いているけれど、シンドバッド自身は特に大活躍するわけでもないし、魔女も賢者も自分の力を過信して墓穴を掘り、話をややこしくしてるだけだし、色々と冒険の旅に相応しいアイテムが出てくるものの未消化で行き当たりばったりだし(地図はともかく鍵は何のために用意したのだろう。
結局は使わずに途中で捨てちゃうし)、お話はこれまでのシリーズ同様これといって面白くはない。

ただ例によってハリーハウゼンの”魔術”は素晴らしく、本作では青銅の巨人や穴居人などの架空の生物だけじゃなく、ヒヒやセイウチなど実在の生物までアニメートしてるのは自信の表れか。
またもう一つの見どころは唐突なヒロイン二人の水浴びシーン。
でも……見えそで、見えない!


by odin2099 | 2021-01-24 11:51 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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