『超高層のあけぼの』(1969)
2021年 01月 30日
その建設の過程を、企画・設計段階から完成までを二部構成で描いた2時間40分の超大作。

それに黒澤明が「トラ・トラ・トラ!」の監督を降板したのに伴い、主演クラスの俳優への出演オファーが錯綜した結果こちらも降板が相次ぎ、結果として東映作品とは思えない布陣になったようだ。
映画そのものは重厚なキャストに伊福部昭メロディが彩を添え、製作段階でのドタバタを感じさせないほどの骨太な作品。
関東大震災時にビクともしなかった上野・寛永寺の五重塔から耐震構造のヒントを得るところから、従来の常識を覆す新しい工程の確立や予算との戦いといった上層部の戦いに、事故や台風の接近や大雪、落雷といった現場レベルでのアクシデントなどを取り混ぜ飽きさせない工夫がなされている。
もっともこれらのイベントは、必ずしも事実に即している訳ではなさそうだが。
とにかくビルの完成から約1年後に映画は公開されているので、周辺に何もなく聳え立つ霞が関ビルは格好良い。今ではCGなどで加工しなければとても描けない”絵”だ。
また現場で撮影されたと思しき”絵”も時折盛り込まれているが、こちらは同じく鹿島建設が施工した浜松町にある世界貿易センタービルの建築現場で撮影されたものだそうだ。
やはり”本物”には勝てないということか。
【ひとこと】
「帰ってきたウルトラマン」に出演する2年ほど前の池田駿介が出ている(あ、根上淳もだ)。
出番はそれほど多くはないのだが、なかなか精悍で格好良い。