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『クイーンズ・オブ・フィールド』(2019)

『クイーンズ・オブ・フィールド』(2019)_e0033570_21123945.jpgSPACは90年の伝統を誇る名門サッカークラブチームだったが、今は11人の選手を揃えるのが精一杯で降格は目前。
しかも試合中に乱闘騒ぎを起こし、全選手がシーズン一杯の出場停止を言い渡されてしまう。
このままではクラブ存続の危機。
その時立ち上がったのは、監督の娘を筆頭にオーナーや選手たちの妻たちだった。
男性がダメなら女性がやる。
何とか残り3試合のうち1得点でも上げ、引き分けに持ち込めればクラブは維持出来る。
そこで残り試合に向けて猛練習が始まるが、女性なんかにサッカーをやらせないとオーナーはあの手この手で妨害をし、妻たちの代わりに家事や育児に悪戦苦闘する選手たちからも悲鳴があがる。
はたしてSPACは生き残ることが出来るのか?

思ってたのとはちょっと違う映画でした。
不甲斐ない男どもに代わって女性たちが奮闘する、というのはその通りなのですが、監督(と乱闘騒ぎを起こした当の選手)は孤軍奮闘。
オーナーは試合直前にユニフォームを没収したり、夜間練習中に照明を落としたり、挙句の果てにはグランドの解体工事まで始める始末。
他の何人かの選手もオーナーに賛同して行動を共にします。

女性になんか任せておけないというプライドもあるんでしょうが、チームが解体してしまえば自分たちの居場所も失ってしまう訳で、なんでそこに積極的ではないまでも協力出来ないものかなあ。
そのやり口もちょっと強引なので、コメディ映画とはいえ、そこは笑えない部分でした。

一方女性だけのチームはダンナの悪口を言い合ったりで和気あいあい。
こっちはこっちで、女性同士のいがみ合いとかギクシャクした雰囲気が漂ったりするのかなと思いきやそんなこともなく、終始結束は固いまま。

例えばメンバーに途中参加するサッカー経験者のシングルマザーがいるのですが、彼女は実は前科者で保護観察中。
娘の親権を何とか取り戻そうとしています。
最初はその素性を隠して参加しているのですが、途中でオーナーたちの策略でバラされた後もチーム内で爪弾きにされることはありません。
むしろ盛大に誕生日を祝ってもらうシーンがあるくらいなので、そこはホッとした部分です。

最終試合を1対1で終えた彼女たちは見事に目標を達成。
ところが男子対女子の試合は無効だとのコミッショナー裁定が下ってしまいます。
この手の作品はハッピーエンドが定番ですからそこは意外でしたが、ラストはメンバー同士の結婚式のシーンで幕。
男性も女性も一緒になって愉しみ、あたかも一つの大きな家族のようです。

最終的にSPACがどうなったのかは明らかにされませんが、降格処分を受けてもきっとまた勝敗に関係なく、文字通りチーム一丸となって彼ら彼女らはサッカーを楽しむんじゃないかな、と希望を持たせてくれる締めくくりでした。


by odin2099 | 2021-03-29 21:39 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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