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『BRAVE HEART/真実の扉を開け』

秋月美沙子は東都新聞の記者。社会部・特報班で後輩の向坂皆人と政府の補助金事業めぐる疑惑の取材にあたっていた。
この事件をめぐりライバル社の東山謙とも取材でしのぎを削っていた。
この疑惑の中心にいたのが長期政権を支える官房長官・瀧清重だった。
美沙子は向坂とともに瀧を追及すべく官邸記者クラブへと乗り込むが、そこには美沙子の上司の村井正嗣が政権におもねり会見を牛耳っていた。
その官邸記者クラブに、合同通信の官房長官番として向坂の大学の後輩・舞島朱里が配属される。会社からも将来を嘱望されていた朱里は、美沙子らと出会い疑惑の取材に関わっていく。
そんな折、向坂は財務省官僚の森川修二からある資料を託される。
それは疑惑の証拠となるものだったが、森川が危うくなることを怖れ向坂は美沙子にその資料の存在を隠す。
一方、美沙子は尊敬する東都新聞初の女性編集長・西崎玲子の指示も受け、瀧を追及すべく官房長官の定例会見についに乗り込む。
新聞業界を知り尽くした作者が多くの記者たちへの取材をもとに描き上げた政治エンターテインメントミュージカル!


以上、パンフレットより。

『BRAVE HEART/真実の扉を開け』_e0033570_18412105.jpg出演は沼尾みゆき、後藤夕貴、井口大地、石井雅登、藤森裕美、石原慎一、安達星来、中村香織、柳瀬亮輔、秋山秀樹、森田浩平、石井裕貴、鈴木紀寛、小田原徹、大久保祝臣、尾曲凱、関野里美、安井摩耶、湯田光、長田珠澄、定本理佐、遠田楓、作・演出は田中広喜。
IMAホールにて観劇。

主演が沼尾みゆき、というだけで鑑賞決定。
主人公のモデルが東京新聞の望月衣塑子記者だということは後で知った。

そんな関係でお話がどことなく「新聞記者」に似通っている(ちなみにどちらの主人公も”東都新聞”の記者だ)し、ドキュメンタリー映画「i/新聞記者ドキュメント」も見ているだけに、段々と”秋月美沙子”が望月記者本人に見えてきてしまった。
まあ意図的にダブらせてはいるのだろうが。

沼尾みゆき、後藤夕貴をはじめキャスト陣の熱演もあってドラマは面白く拝見したのだが、この内容を伝える手段として”ミュージカル”という形式をとったのがはたして相応しかったのかどうか。
”ストレートプレイ”の方がより直接的に観客へメッセージが伝わったのではないか、という率直な疑問が残った。

ただ、若くて美人の記者が次官に強姦されかかったり、資料の改竄を強要された職員が自ら命を絶ったり、陰謀の中心にいた官房長官が、一度は追い詰められたものの首相に全責任を押し付け、自分は新たな首相として政権に返り咲いたり等々、容易にネタ元が想像され得る、そのまま描くにはヤバいネタも多いので、敢えてワンクッションを入れ、”ミュージカル”という虚構性の高い表現手段を用いることで、いわばオブラートに包んだ状態で提供した(あるいはせざるを得なかった)のでは、とも受け取れたのだが、それは穿ち過ぎだろうか。

フィクションの世界とはいえハッピーエンドにはならず、まだまだ記者たちの”戦い”は続く、というところで幕。
今後この長期政権がコロナ禍の影響のもとでどうなっていくのかはわからないが、いずれ内容をアップデートした再演版、もしくは続編も望みたいところだ。


by odin2099 | 2021-04-11 18:45 | 演劇 | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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