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『歴史のIF』 本郷和人

日本の中世史において、「もしあのときこうだったら、歴史はどう動いたか」を考察した一冊。

大きく「鎌倉時代のIF」「室町時代のIF」「戦国時代のIF」「関ヶ原の戦いのIF」の四つに分け、その中で細かく章立て。

全部で14章に及び、それぞれ
「もしも、石橋山で、梶原景時が「源頼朝を見つけたぞ! 」と叫んでいたら…」
「源頼家が重病に。もしも比企能員が慎重であったら…」
「モンゴルから国書がやって来た。もしも、鎌倉武士たちに教養があったら…」
「もしも、後二条天皇が若くして亡くならなかったら…」
    * * *
「もしも、足利尊氏が大好きな後醍醐天皇に反逆しなかったら…」
「もしも、足利義満がもう数年生きていたら…」
「もしも、畠山持国が、男としての自信にあふれていたら…」
    * * *
「もしも、「あの人」が長生きしたら、早く死んだら、早く生まれたら…」
「もしも、浅井長政が織田信長を裏切らなかったら…」
「もしも、「本能寺の変」のとき、織田信忠が逃げていたら…」
「もしも、豊臣秀頼が女の子だったら…」
    * * *
「もしも、鳥居元忠が、島津義弘に「かたじけない」と頭を下げていたら…」
「もしも、上杉軍が退却していく德川軍の背中を襲ったら…」
「もしも、毛利輝元が大坂城に籠城したら…」
と題されている。

『歴史のIF』 本郷和人_e0033570_20375257.jpgどれもこれも興味深い題材なのだが、結局のところ「今知る歴史と大差はなかったであろう」という結論づけされているものが大半なので、さてどんな変化が起こるだろうと期待して読む人は肩透かしを食らった気分になるのではないか。
逆にいえば突拍子もない、いくら「IF物」だからといってなんでもかんでも「あり」はおかしい、という人には得心が行くものが多いかもしれない。

そんな中でも破格の(と思いたい)のが、蒲生氏郷の扱い。

個人的に贔屓の戦国武将の一人でもあるのだが、この氏郷がもう少し長く生きていたならば、秀吉死後の豊臣政権は違った形になっていただろうし、徳川政権は実現しなかったかもしれない、と影響大との解釈。
「IF物」として、それぐらいの夢は見ても罰は当たるまい。
特に前田利家があと数年生き延びていれば、天下は前田家のものになっていたかもしれない、などと考えるのは愉しい。

ちなみに自分が「IF」を考えてしまうのは、豊臣秀長と秀次。

秀長がもう数年、十数年存命だったら、そして秀次が処分されなかったら、やはり徳川政権は誕生しなかったか、あるいは誕生したとしてももっと遅くになっていた可能性はあるな、と思っている。
もっとも最近では、秀次は実際に秀吉に対するクーデターを画策していたのでは?という説もあるようなので、それはそれで新たな火種になっていたかもしれない。

豊臣家を二分しての天下分け目の関ヶ原…
いや、これはちと妄想が過ぎたか。

by odin2099 | 2021-04-12 20:46 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
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