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『ネモ船長と海底都市』(1969)

『ネモ船長と海底都市』(1969)_e0033570_22570593.jpg悪天候のため遭難した客船の乗客のうち、上院議員、鉱山技師、美しき未亡人とその息子、商人の兄弟は、ネモ船長と名乗る謎の男が操る潜水艦ノーチラス号に救出される。
彼らは海底にドームに覆われた都市を建設し、外界との接触を断って暮らしていた。
そこは彼らにとっての理想郷であったのだ。
乗客たちは歓迎されるが、それは同時にその都市に一生縛り付けられることを意味していた。
彼らの生き方に賛同して残ることを希望する者もいる一方で、閉所恐怖症の技師はパニックを起こして都市を混乱に陥れ、都市にふんだんにある金に目の眩んだ商人と、使命を帯びた議員は何とかして地上へ戻ろうと画策する。

ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」が”原案”ではあるが、ストーリーはオリジナル。
監督はジェームズ・ヒル、出演はロバート・ライアン、チャック・コナーズ、ネネット・ニューマン、ルチアナ・パルッツィら。

海底都市が、単にネモ船長の理想的社会を具現化したものなのか、それとも例えば虐げられた志を同じくする人々の避難所的性格なのかは不明。
そしてネモ船長自身も非情な独裁者なのか、それとも性善説に依って他人を簡単に信用するお人好しなのか、あるいは人間嫌いの世捨て人なのかも今一つ釈然としない。

地上に帰ることはまかりならんと主張するネモに難破船の乗客たちが反発するのは当然だけれども、後先考えずに衝動的に行動を起こし周囲に迷惑をかけまくる乗客たちの行動も素直に肯定することはできない。
そのあたりの対立図式をきちんと描けていればもっと深みのある作品になっていたかもしれないが、融通の利かない頑固者同士がいがみ合ってるだけにしか見えないので面白味は半減。
せっかくのルチアナ・パルッツィも一応はヒロイン枠なんだろうけど、作品に華を添える、というほどの存在感はなし。

【ひとこと】
同年公開の日米合作の東宝特撮映画「緯度0大作戦」は似た話だったけど、なんか関係あったのかな。


by odin2099 | 2021-04-16 23:02 | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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