『鏡の中の悦楽』(1982)
2021年 04月 18日
その日以降、浴室の鏡をマジックミラーに変え、義姉の姿を覗き見る毎日。
そこに映し出されるのは、兄によって縄で縛られ鞭打たれる姿であり、あるいは旧友とのレズ行為に耽る姿であった。
徐々に理性を失っていった彼は、嫉妬に駆られて遂に義姉に襲い掛かる。
何度も拒む彼女だったが、次第にエスカレートしていく義弟の熱情にやがて心も躰も開いてゆく。
だがそれは夫の知るところとなり――。
サスペンス物を思わせるタイトルだが、ここでいう”鏡”はマジックミラー。
義姉への劣情を抑えきれなくなった変態の弟が、浴室の鏡を改造。
それからは毎日、義姉が風呂に入るたびに覗きに来ることになる。
兄も兄で、自宅とはいえ風呂場に鞭と縄を常備し、嫁と入浴する際にはSM行為を愉しむというのもどうかと思うし、嫁も嫁で嫌がってるんだか喜んでるんだか。
朝比奈順子はお色気過剰だったり、露出過多だったりすることもなく、ごくごく普通に専業主婦を演じていて、それがリアリティを高めているようだ。
和装、洋装どちらも似合い、もちろん均整の取れた肢体も余すところなく見せてくれる。
ラストは些か投げやりな感も受けるが、観客に”その先”を委ねる締めくくり方も悪くはない。