『赤死病の仮面』(1964)
2021年 04月 18日
とある村の老婆はある晩赤い装束に身を包んだ男に呼び止められ、「解放の日は近い」との託を授かる。
その村に、圧政でもって支配しているプロスペロ公が視察に訪れる。
キリストの神を否定し、自らを神に准え、城内で退廃的な享楽に浸るのであった。
ロジャー・コーマンの最高傑作とも呼ばれていて、四半世紀ほど前に見た時に感動した覚えがあるのだが、今回見直してはみたものの今一つ。
これは元ネタと言われているイングマール・ベルイマン監督の『第七の封印』を見直した時にも感じたことだが、何故それほどまでに衝撃を受けたのだろうか。
少なくとも当時はこういったジャンルの作品を見た経験は殆どなく、且つ色々と背伸びをしてみたかったのかもしれない。
赤死病はペストの隠喩というか諷喩だろうが、出血を伴う症状はエボラ熱のようなものを想起させる。
そしてそれをもたらすものは、劇中では擬人化されてはいるが神でも悪魔でもなく、ただ通り過ぎるだけの”使者”。
人知を超えた相容れない存在で、人々はただやり過ごすのみ。
コロナ禍のいま見ると、自ずと違った受け止め方になってしまう。