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『赤死病の仮面』(1964)

『赤死病の仮面』(1964)_e0033570_21044078.jpg中世のイタリア。
とある村の老婆はある晩赤い装束に身を包んだ男に呼び止められ、「解放の日は近い」との託を授かる。
その村に、圧政でもって支配しているプロスペロ公が視察に訪れる。
自分らに反抗する村人を処刑しようとしたが、村に赤死病が発生したことを知ると村を焼き払うように命じ、同じく反抗した美しい娘を連れ去る。
赤死病の感染者は、あの老婆だった。
悪魔崇拝者であるプロスペロは従順な貴族たちだけを集め城に閉じこもり、助けを求める人々の声に耳を傾けず残虐に始末する。
キリストの神を否定し、自らを神に准え、城内で退廃的な享楽に浸るのであった。

エドガー・アラン・ポーの原作をロジャー・コーマンが監督。
出演はヴィンセント・プライス、ヘイゼル・コート、ジェーン・アッシャー、デヴィッド・ウェストン、パトリック・マギーら。

ロジャー・コーマンの最高傑作とも呼ばれていて、四半世紀ほど前に見た時に感動した覚えがあるのだが、今回見直してはみたものの今一つ。
これは元ネタと言われているイングマール・ベルイマン監督の『第七の封印』を見直した時にも感じたことだが、何故それほどまでに衝撃を受けたのだろうか。
少なくとも当時はこういったジャンルの作品を見た経験は殆どなく、且つ色々と背伸びをしてみたかったのかもしれない。

赤死病はペストの隠喩というか諷喩だろうが、出血を伴う症状はエボラ熱のようなものを想起させる。
そしてそれをもたらすものは、劇中では擬人化されてはいるが神でも悪魔でもなく、ただ通り過ぎるだけの”使者”。
人知を超えた相容れない存在で、人々はただやり過ごすのみ。
コロナ禍のいま見ると、自ずと違った受け止め方になってしまう。


by odin2099 | 2021-04-18 21:25 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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