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『魔性の誘惑』(1973)

毎晩悪夢にうなされるピアニストである妻を心配した夫は、精神科医である友人に相談を持ち掛ける。
だがその矢先に彼女の遺体が発見された。
容疑者の一人となってしまった精神科医は、彼女の死の真相を探り出そうとするのだが…。

別題は「エマニュエル 魔性の誘惑」
「エマニエル夫人」シリーズとは無関係のあやかり作品で、出演はノーマ・キャステル、ジャック・テイラー、リナ・ロメイ、アルベルト・ダルベスら。
監督はジェス・フランコ

『魔性の誘惑』(1973)_e0033570_22355121.jpg二人の女性が煙草を吸いながら全裸で絡み合うタイトルバックからゲンナリ。
アンダーヘアもバッチリながら、喫煙中というシチュエーション故か、エロさはあまり感じず。
その後も男女の絡みよりも女同士の絡みの方が濃密で、若干のボカシは入るものの(「ヘア無修正版」とは書かれているのだが)カメラはバストよりも執拗に下腹部を捉えている。

物語はかなり難解、というより人間関係が複雑である。
夫はかなり嫉妬深く、妻を独占し束縛してきた。
そして殺害された妻と精神科医はかつて恋仲で、夫は相談を持ち掛ける一方で彼が浮気相手だと疑ってもいる。
またこの夫の妹というのも精神科医の元恋人で、しかも妻ともレズ関係なのだからややこしい。
更に妻は浮気性で、関係を結んだ男も一人や二人ではない。

怪しい奴らが次々と登場し、警察も翻弄されっぱなしなのだが、以下ネタバレ。

夫は妻への嗜虐的な気持ちもあり、妻に似た女性と寝るのだがその直後に殺害し死体を遺棄、本物の妻は別荘に監禁する。
ようやく真相を知った妹は、兄とかつての恋人を奪った妻が諸悪の根源だと銃を向けるが、それを庇った夫に当たってしまったところで幕となるのだ。

かなり捻ったプロットではあるものの舌足らずであることは否めず、凄い脚本だとか想像を超えた結末だった、とは残念ながらならず。
また一応の主人公は精神科医の筈だが、彼は真相究明の場には居合わせないために何ともカタルシスに欠けるケリのつけ方なのである。
作り方・見せ方によっては、ちょっとしたサスペンス物の佳作くらいにはなったんじゃないかと思うと残念なのだが、そのあたりがこのスタッフ・キャストの限界なのだろう。


by odin2099 | 2021-04-27 22:37 |  映画感想<マ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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