『機動戦士ガンダム/逆襲のシャア』
2021年 05月 09日
原作小説版『閃光のハサウェイ』はこの映画版ではなく、富野由悠季が書いた小説版『機動戦士ガンダム/逆襲のシャア~ベルトーチカ・チルドレン~』の続きなので、そのあたりはどのようにアレンジされているのかも気になるところです。
そして映画が始まった時点で既にシャアが動き出していること、そしてアムロたちも今日あるを予期していたことが語られます。
もう物語が始まっているというのはいいですね。
残り30分でアクシズでの最終決戦がスタートし、アムロとシャアの直接対決が描かれていくのですが、劇場で最初に見た時は「え、ここで終わり?」と驚きました。
アムロとシャアの会話から謎の光、これからどのように進展していくのかと思った矢先にエンドクレジットが流れ始めるからです。
そして主題歌が流れ終わると2時間ジャスト。
何とかしてこの尺で収めなければという制約があったのかもしれません。
実際何度か見直すと、アムロとシャアにはこの時点で相互理解は成立しない、お互いの主張は平行線だからこれ以上の会話は必要なかったのだなということはわかります。
あとはアクシズの運命、地球の核の冬はどうやら回避されそうだ、というところを明示できればそれ以上は蛇足になってしまうのも確かでしょう。
ただ最後にアムロとシャアがどうなったかに関しては多少なりともモヤモヤが残ります。
結局その後の作品でもアムロもシャアも「戦死」扱いではなく「戦時行方不明者」扱いです。
決着をつけると言いつつ二人をハッキリ死なせることはせず曖昧にしたのは、それによって二人を物語の上で永遠の存在にしたかったのでしょうし、穿った見方をするならば後続作品にて再登場させる余地を残したとも言えます。
見直して考えを改めたといえば、シャアの策略がなかなかピンと来なかったのですが、何度か見ているうちに段々と理解出来るようになりました。
理解できないのは連邦政府高官たちが何であっさりとシャアの言うことを信用したか、ということの方です。
また無自覚ゆえに周囲を不幸に陥れるクエスは以前はウザく感じたものですが、こちらが歳食ったせいか今は少しは可愛らしく感じられるようになりました。
ただギュネイは相変わらずウザいだけですし、チェーンを撃っちゃうハサウェイの行動は全く理解できません。
で、この作品を踏まえた上だと、やはり『機動戦士ガンダムUC』に出てくるフル・フロンタルは”シャアの再来”足りえないですね。
単なるシャアの偽者でしかありません。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/9104547/
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