人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『昼顔』(1967)

『昼顔』(1967)_e0033570_19134242.jpg高級住宅地で医師の夫と何不自由ない暮らしをしているセヴリーヌ。
しかし彼女は心から夫を愛しているものの不感症であり、そのことで負い目を感じていた。
ある日知人が密かに高級娼館で働いていることを聞いた彼女は、興味本位から足を運ぶ。
そして昼間の間だけ娼婦として働くことになり、”昼顔”と名付けられる。
最初は抵抗を感じていた彼女も、やがて解放された気分を味わうようになるのだが、客の一人である犯罪者の青年がセヴリーヌに入れ込み過ぎ、悲劇が起きてしまう…。

ラストシーン含めて、何が何やらという感じ。
現実世界と、贖罪を兼ねたセヴリーヌの妄想世界が交差し、その境界線が徐々に曖昧になっていくからだ。
ラストも彼女の妄想というか願望のようにも受け取れるし、或いはこの物語全てが彼女の妄想だったと捉えることも出来る。
サスペンス物の要素もあるが、全体的には広義のファンタジー映画に分類することも可能だ。

カトリーヌ・ドヌーヴは昼は娼婦、夜は貞淑な人妻という二面性を演じ分け…てはいない。
無機質で一本調子なお人形さんみたいだ。
そのことがかえって前述の通り、現実世界なのか妄想世界なのか、その狭間を危うくさせているので結果的には好演技ということになるのだろう。

縛り付けられて下着を剥ぎ取られ、鞭で叩かれたり泥を投げつけられたり、ベッドに乱暴に押し倒されたりとスキャンダラスな内容ではあるが、ドヌーヴはバストトップすら見せてはいない。
下着姿は何度も披露しているが、後は後ろ向きで上半身脱いだ状態、それと黒のスケスケドレスを纏っての全身のバックショットくらいで、エロティックというよりは痛々しさが勝ってしまう。

他にジャン・ソレル、ミシェル・ピッコリ、ジュヌビエーブ・パージュ、ピエール・クレマンティ、フランシスコ・ラバル、マーシャ・メリルらが出演。
監督はルイス・ブニュエル
約40年後に続編が作られた。

【ひとりごと】
ドヌーヴって絶世の美女かと思っていたら、意外に”大味な”美人だったんだなあ。


by odin2099 | 2021-05-11 19:15 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30