『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015)
2021年 05月 20日
一般的には顔も名前も知られていない存在かもしれないが、彼こそ『スター・ウォーズ』のクラシック・トリロジーにおいて、屈指の名悪役ダース・ヴェイダーを演じていた人物なのだ。
だがある「事件」をきっかけにして”創造主”であるジョージ・ルーカスとの関係がこじれ、現在は公式イベントからも締め出されてしまっている。

本人以外にはゲイリー・カーツやロバート・ワッツといったかつてのプロデューサーたちや、共演者のケニー・ベイカー、ジェレミー・ブロック、それにルー・フェリグノといった面々がインタビューに応じている。
『帝国の逆襲』の際にはネタバレ防止のために、この映画のタイトルにもなっている有名な”I AM YOUR FATHER”ではなく違う台詞を割り当てられ、『ジェダイの帰還』に至っては出番をスタントマンに取って代わられただけでなく、マスクを取った素顔のヴェイダーを演じる機会もセバスチャン・ショウに奪われ、撮影現場では徹底的に無視されたと主張する。
これに対してルーカス側は、台詞を別人が吹き替える件については事前に告知し了解済みだとし、ヴェイダーがルークの父親だという件はプラウズだけでなく、ほんの数人を除いて一様に伏せられていたことであり、また素顔のヴェイダー=アナキン・スカイウォーカーを演じるにはプラウズが若すぎたのだ(もしくはプラウズでは演じきれなかった、とも)と説明している。
この映画では、これらファンにとっての”定説”について当人や関係者、研究家などのコメントを集め、更にはルーカスを激怒させた「事件」の真実――プラウズは冤罪だった――にまで踏み込んではいるものの、片方の主張だけを一方的に聞かされている感は拭えないので、例えそれが真実であったとしても素直に首肯は出来ないのがもどかしい。
クライマックスは『ジェダイの帰還』の”奪われたシーン”の再撮影。
プラウズにヴェイダーの最期、マスクを取って素顔を見せるシーンを再び、というか初めて演じさせるという趣向だ。