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『吸血鬼ハンターD』(1985)

”貴族”と称する吸血鬼が支配し、人類は”家畜”として隷属している未来社会。
辺境の村に弟と二人暮らしの少女ドリスは、辺りを支配するリィ伯爵に血を吸われてしまった。
このままでは彼女も忌まわしき吸血鬼の仲間となってしまう。
そこで”D”と呼ばれる凄腕の「吸血鬼ハンター」を雇うことにするが、ドリスを自らの花嫁にしようと画策する伯爵、誇り高き一族に穢れた血を入れることを望まない伯爵の娘ラミーカ、不老不死である吸血鬼に憧れるミュータントの麗、それにドリスに横恋慕している村長の息子らのドラマが複雑に絡み合う。

『吸血鬼ハンターD』(1985)_e0033570_18410342.jpg作家・菊池秀行の人気シリーズの一作目『吸血鬼ハンター”D”』を原作に、脚本:平野靖士、監督:芦田豊雄の組み合わせでアニメ映画化。
出演は塩沢兼人、富沢美智江、戸田恵子、加藤精三、木藤聡子、曽我部和恭、屋良有作、清川元夢、永井一郎ら。
音楽は小室哲哉が担当し、主題歌はデビュー間もないTM NETWORKが歌っている。

原作の『吸血鬼ハンターD』のイラストを手掛けているのは天野喜孝
このテイストをアニメーションで再現するのは当時としては大変難度が高く、あくまでも天野タッチを踏まえた上でアニメ用にリデザインするか、さもなければスッパリと諦めて別物にするかの事実上二択しかなかっただろう。

先日見直した『アモン・サーガ』では、当代随一の美形キャラを描く荒木伸吾が天野キャラを咀嚼した上でアニメ用のデザインを起こしていたが、一方こちらではあくまでも天野キャラは原案程度に留め、監督を務めた芦田豊雄率いるスタジオ・ライブの色が濃い、殆ど別物と呼んで差し支えないデザイン(『銀河漂流バイファム』や『超力ロボ ガラット』を彷彿とさせるもの)を採用とアプローチが分かれたのは興味深い。

そのためにファンからの(原作者からも?)評判はあまり芳しくなかったようだが、Dの出生の謎を含めて各キャラクターは立っており、二転三転する意外性もあって最後まで引き付けられた。
予備知識なしで見たので、Dの左手がどういう関係なのかとか、「ダンピール」とは何のことなのかとか戸惑った部分もあったが、未来が舞台ではあるものの”ホラー風の西部劇世界”は十分に楽しめた。

しかしこの頃のOVAなどの性といえばその通りなのだが、やや過剰ともいえるスプラッター描写(時に行き過ぎて笑いを禁じえなくなることも)や取ってつけたような女性のヌードシーンが、今日の目では少々気になる。
当時はそれが売れる要素と認識されていたのではあるが。

【ひとこと】
同時期に芦田豊雄が手掛けていた『北斗の拳』と酷似した場面(モブキャラとして似たキャラも登場)はやり過ぎの感も。


by odin2099 | 2021-05-22 18:44 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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