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『巨竜と魔王征服/イリヤ・ムーロメッツ』(1956)

『巨竜と魔王征服/イリヤ・ムーロメッツ』(1956)_e0033570_13051648.jpgカリン王率いる異民族に村を蹂躙され、恋人を奪われてしまったイリヤ。
彼は生まれてこの方立つことが出来ないのだ。
通り掛りの巡礼者が薬草を飲ませるとたちまち体内に力が満ち溢れ、老勇者の魔法の剣をも授かったイリヤは旅に出る。
途中で怪物を退治したイリヤはキエフのウラジーミル大公に迎えられ、無事に恋人も取り戻すことが出来た。
だが宮殿内にいる裏切者の讒言によって牢に繋がれ、妻子もカリンの手に囚われてしまう。

昨晩の「土曜プレミアム」ではキングギドラが大暴れする映画がオンエアーされたようですが、こっちのキングギドラも負けちゃいません。
ロシアに古くから伝わる民族的叙事詩を元にしたアクション・ファンタジー映画で、わが国では『豪勇イリヤ/巨竜と魔王征服』『イリア・ムウロメツ/巨竜と魔王征服』のタイトルで公開され、また『キング・ドラゴンの逆襲/魔竜大戦』の題でビデオ化もされておりました。

監督はアレクサンドル・プトゥシコ、出演はボリス・アンドレーエフ、アンドレイ・アブリコソフ、ナタリヤ・メドヴェデワ、ニネル・ムイシェコワ、アレクサンドル・シュヴォーリン。

無実の罪を着せられたり、そうとは知らずに息子と対決する羽目に陥ったりと、英雄伝説の王道を行く展開ですが、ヒーローもヒロインも美男美女とは言い切れず(イリヤは大柄なおっさんだし)、台詞は大仰で芝居は大袈裟。
ミュージカルじゃないんですけどちょくちょく歌が入るし、画面構成も平板でまるで舞台劇を見てるかのようです。

人海戦術で人を集め(さすがにソ連ですなあ)、大掛かりなセットを組んだりで迫力ある映像を作り上げてはいるんですが(意外にも特撮映画の要素が少なめですね)、1時間半弱の上映時間ながら見続けるのはなかなか辛いものがありました。

肝心のキングギドラ、もとい火竜ゴルーニチですが、出てくるのはラストの10分だけと控え目。
空飛ぶ三つ首竜で口から火炎を吐くなど、確かにこれはキングギドラの原型ですねえ。
日本でこの映画が上映されたのは1959年なので、キングギドラ誕生の5年前。
この年には『日本誕生』が作られていて、そちらに出てきた八岐大蛇もキングギドラの原型だと言われてますが、この映画からの影響がなかったとは思えません。


by odin2099 | 2021-05-30 13:07 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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