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『映画大好きポンポさん』(2021)

『映画大好きポンポさん』(2021)_e0033570_21095435.jpg伝説の名プロデューサーの孫娘で、そのコネだけでなく才能も受け継いでいるポンポさん。
彼女の元でアシスタントとして働くジーンは、映画に対する情熱だけは誰にも負けないが、人生に対する”負け組”だと自覚している男。
そんなジーンはある日ポンポさんから予告編作りを任され、映画を撮ることの楽しさを知ってしまう。
するとポンポさんは、彼女が書き上げた新作シナリオの監督にジーンを指名。
またヒロイン役にはオーディションに落ちまくっている女優志望の少女ナタリーを選び、更にその共演者として半ば引退状態の伝説的名優を担ぎ出す。
今それぞれの夢の実現に向けて、歯車は動き出した。

杉谷庄吾【人間プラモ】の「映画大好きポンポさん」の第1巻をベースに、中盤以降には大幅にオリジナルストーリーを追加して膨らませた映画版は、ジーンが主役。

原作ではポンポさんを中心に、彼女と周囲の人物たちとのコラボという形で、映画作りの裏ネタを含んだ物語が進んでいくのだが、この映画版ではポンポさんがやや脇に退き、ジーンとナタリーを中心に据えている。

更にジーンの学生時代の友人だというアランというオリジナルキャラを設定。
かつてはジーンをやや見下していたものの、今は生き生きしてるジーンに対し、エリート銀行マンでありながら生き甲斐を見出せずに悶々としているという人物。

『映画大好きポンポさん』(2021)_e0033570_21093910.jpgそんな彼が資金不足で映画製作に行き詰ってるジーンを見て、銀行マンとして自分に出来ることを見つけ出し、上司や幹部を説得して融資を実現させるという熱いドラマが盛り込まれ、後半は実質アランが主人公と化す。

主人公たちにとって”障害”、”障壁”となる人物は出てくるが、あくまでも立場上であって”悪人”ではない。
基本的には善人しか出てこない、知人の評を借りるなら「気持ちのいい連中」しか出てこないドラマである。

シリーズは全3巻にオムニバス集、更に「映画大好きフランちゃん」、「映画大好きカーナちゃん」と2本のスピンオフもある。
まだまだ出て来ていない魅力的なサブキャラクターたちもいる。
そもそもコミックの1巻が出た時点で「続編はあり得ない」というスタンスだった原作者には不本意かもしれないけれど、この映画の評判も上々だし何らかの形で「続き」が見たいものだ。

このままじゃ勿体ない。


by odin2099 | 2021-06-13 21:26 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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