『宇宙戦艦ヤマト/完結編』
2021年 06月 19日
『ヤマトIII』総集編まで来たので、今回は『完結編』。

脳死に至ってなかったというのはいいと思うけど、これ、もうちょっときちんと理由付けは出来なかったもんかね。
放射能除去装置コスモクリーナーDの技術を応用し、それで宇宙放射線病の治療に成功したとか何とか。
他にも何人か治療を受けた者がいたけど奇跡的に助かったのは沖田艦長だけ、という点を追加してもいいし、その治療法によって死の淵にいた古代も助かったとか。
それでもご都合主義とは言われちゃうだろうけど、「坊主になってお詫びする」よりはマシだと思う。
また今回の映画で度々出てくる”宇宙服”なんだけど、これ、通常のユニフォームにヘルメットを被ってるだけじゃん。
確かにこれまでのシリーズでもこの格好で宇宙空間に出たりしてたけど、艦内で”宇宙服”といえばアルファ星に突入する際に着ていたアレでしょう?
アレを着てたから助かったというなら絵的にも納得いくけど、通常のユニフォームだけじゃあハイパー放射ミサイルの恐ろしさは今一つ。
そういやこの兵器、公開直前まで”ハイパー熱核ミサイル”って名称だったっけ。
今回の泣かせポイント、島の死。
メインキャラでこれまで死んだことのない人?
はーい!
…ってんで選ばれたのが島大介。
そんな理由かよ。
その島が決死の操縦をするシーン、見かねた沖田艦長は真田に操艦させようとするんだけど、
あれ?太田は?
太田の立場がないよなあ。
ま、『さらば』と『ヤマト2』でも出航の際に島がいないというシチュエーションがあるんだけど、その時も操舵は古代が自らやってたな。
太田、その技量は信頼されてないのかしらん?
父の遺影に語り掛けたり、退艦の際には艦内の様子を遺影に見せようとしてたり、太助は良いキャラに育ちましたねえ。
欲を言えば加藤も、亡き兄に語り掛けるようなシチュエーションがあっても良かったよなあ。
クライマックスはただ一人ヤマトに残った沖田艦長が、自らを犠牲にしてヤマトを自沈させ、アクエリアスの水柱を食い止める。
このシーンはほぼ台詞がなく(波動砲発射シークエンスの読み上げだけ)、絵と音楽のみ。
その絵にしたって特段優れたカメラワークやカット割りがあるでもないし、エフェクトが技術的に群を抜いているというほどでもなく状況説明のみで、それを音楽が支えている。
音楽のみの力、と言い切っても良い。
これが出来るのは「ヤマト」だけだろうな。
アニメ映画の作り方としては邪道なのかもしれないけれど。
デザリウム星からは地球と即時通話が出来たのにディンギル星付近からは直接通話が出来ないとか、「この星にあなた方の敵はいません」と女王が宣った直後に出現するルガール殿下の艦隊とか、色々とツッコミどころを残したまま「宇宙戦艦ヤマトのドラマは終わった……」と重厚な仲代達矢のナレーションで、ひとまず物語の幕は下りるのでありました。
そういや仲代さんの起用って、プロデューサーの念願だったみたいですね。
古代アケーリアス文明がどーたらこーたらというお話を既にやっているので、いまさら水惑星アクエリアスが回遊して恵みと試練を与えたという話はやらないだろうし、弱肉強食、救いの手を差し伸べてくれた異星人を逆に滅ぼした地球人が先祖だというディンギル帝国もそのまま出さないだろうし、『復活篇』ネタも絡めてくるのかな。
『永遠に』では結局壮大なネタで終わった「未来の地球が攻めてくる」というのも、理屈っぽいリメイクシリーズには似合わないだろうし、『III』も『復活篇』も地球人が住む所を失って難民になるかならないかという点で丸被りしちゃうし、”超”前倒してセイレーン連邦を出したとしても、これまたディンギル帝国と同じく地球人同士の争いになるし、なかなか難しい問題ですな。
そもそもリメイクシリーズをいつまで続ける気かしらん。
いっそこの世界観の延長で、完全オリジナルストーリーを始めるという選択肢だってあるとは思う。
まあオーディーン星目指して旅立っても、ゴドム人工惑星が地球に飛来してもいいけどさ。
<過去記事>
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