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『星空のむこうの国』(2021)

『星空のむこうの国』(2021)_e0033570_17110691.jpgトラックに轢かれる寸前に親友の尾崎に助けられて以来二か月、昭雄は毎晩同じ少女が出てくる夢を繰り返し見るようになる。
ある日向かいのバスに乗っている少女を見かけた昭雄はバスを降り、夢中で彼女の乗るバスを追いかける。
昭雄の姿を見つけた少女もバスを降り昭雄に駆け寄るが、抱きしめた瞬間彼女の姿は消えていた。

訳の分からぬまま帰宅した昭雄は、そこに飾られていた自分の遺影を見つける。
部屋の窓から外を見ると、そこにはあの少女の姿が。
急いで彼女を追いかけ病院へたどり着いた昭雄は、そこで尾崎と出会う。

尾崎の話によると、この世界では二か月前に昭雄は交通事故で亡くなっているという。
そしてあの少女は理沙といい、この世界での昭雄の恋人だった。
昭雄の死を信じられない理沙の想いが時空を超え、パラレルワールドの昭雄をこの世界に呼び込んだのではないか、というのが尾崎の推理だった。
昭雄は理沙の想いに応え、生前の”この世界の昭雄”と理沙との約束を叶えようとするのだが、実は理沙の身体は重い病に侵されていた……。

小中和哉監督が商業映画デビュー作をセルフリメイクした作品で、原作・脚本は小林弘利
出演は鈴鹿央士、秋田汐梨、佐藤友祐、伊原六花、福田愛依、平澤宏々路、高橋真悠、川久保拓司、そしてオリジナル版で理沙を演じた有森也実が、彼女の母親役で出演。

オリジナル版は公開から二年ほど経って、評判を聞いて見たい見たいと思いつつようやく探し当てたレンタル店で借りて見たのだが、間違いなく感激した覚えがある。
それで『四月怪談』『赤いカラスと幽霊船』など他の小中監督作品も追いかけて見たし、多感な時期だったこともあって、大林亘彦監督や今関あきよし監督の作品群に嵌ったのもこの頃だった。

で、このリメイク版だが、わざわざ作り直す必要はあったのかなというのが正直な感想。
『惡の華』の美少女ぶりで気になっていた秋田汐梨は思ったほど可愛くないし、伊原六花、福田愛依、平澤宏々路(『アーヤと魔女』でアーヤを演じてた娘だったのか)も同様(もっと可愛く撮れたはずなのに…)。
有森也実に至ってはもはや当時の面影すらない。

特撮シーンも技術的には当時より優れているはずが何故か安っぽくなってるなあと思うのだが、でもその一方でWeb上で散見される酷評を見ると、そこまで腐す作品じゃないだろうという気持ちにもなる。

驚くほど当時のままの80年代テイストに溢れた作品で、正面から何の衒いもなくファンタジーに挑んでいるのが、見ている側には気恥ずかしく大仰に感じられてしまうということ。
つまり今の観客の気分とこの映画の目指すベクトル、製作側のセンスが合わない、というのが酷評に繋がってるってことなんじゃなかろうか。

オリジナル版にあった「少年ドラマシリーズ THE MOVIE」の冠は伊達じゃないはずで、あの頃10代、20代だった人の琴線には刺さるノスタルジックな作品だと思うのだが、時代錯誤なのかも。


by odin2099 | 2021-07-25 17:25 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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