『新諸国物語 紅孔雀／第三篇 月の白骨城』（1955）

紅孔雀の秘宝を巡る攻防は続く。

黒刀自によってどくろかずらを飲まされた久美は”されこうべ党”の首領として、宿敵”白鳥党”の党首である小四郎の命を執拗に狙うが、今一歩のところで切っ先が鈍り、善と悪の心の葛藤に苦しめられる。
その久美を逃したことで怒り狂った黒刀自は、浮寝丸に久美の命を狙わせる。
紅孔雀の鍵を手に入れた信夫一角は、それを餌に久美を我が物にしようとするのだが…。
一方小四郎は一角に囚われ、父・嘉門と同じ岩牢に閉じ込められていた。
姉の幾重や五升酒の猩々らが小四郎の救出に向かうが、突如小四郎の姿は掻き消えた。

北村寿夫原作のラジオドラマを、萩原遼が監督し映画化した五部作の三作目。
出演は中村錦之助、高千穂ひづる、大友柳太朗、東千代之介、星美智子、三条雅也、毛利菊枝、青柳龍太郎ら。

各編は一時間足らず。
その短い時間で次から次へと事件が起こり、新たな登場人物も現れ、と行きつく暇もない。
毎回毎回「次はどうなる？！」というところで終わるため、次が待ち遠しくなる。

今のように毎週放送される子供向けのドラマやアニメのなかった時代、週替わりで新作が公開される度に子供たちが映画館に殺到したのも頷ける話だ。
これがやがて毎週毎週、お茶の間で子供たちを虜にするヒーロー番組に繋がっていくのだから感慨深い。