『ジャスティス・リーグ<ザック・スナイダーカット>』(2021)
2021年 08月 11日
ファンの後押しによって実現したのだから、ある意味で究極のファンムービーと言ってもいいんじゃないかな。

しかしその頃から実はスナイダー監督版(スナイダーカット)は殆ど出来上がっていたけれど、スタジオが気に入らなかったから作り直したんじゃないか、という噂は出てたような。
そこでファンは「あるんなら見たい」との声を寄せたが、スタジオ側はその存在を否定。
ところが出演者やスタッフから「存在する」という証言が出たことで、ようやく存在を認めたという経緯がある。
一方、ライバル会社マーベル・コミックの『アベンジャーズ』を大ヒットに導いたウェドンだったが、出来上がった作品は賛否両論で興行的にも満足いく結果が得られず、またその後にウェドンの言動に対してキャストやクルーたちから告発が相次ぎ一気に株が暴落する羽目に。
そんなこんなも<スナイダーカット>実現にプラスに働いたんじゃないかと思う。
というワケでウェドンが追加撮影した分は一切使わず、当初の予定に近い形でまとめた<スナイダーカット>は上映時間242分と、公開版(120分)の倍の長さ。
「パート1 諦めろ バットマン」、「パート2 ヒーローの時代」、「パート3 最愛の母 最愛の息子」、「パート4 チェンジ・マシン」、「パート5 王家の家来」、「パート6 暗い何か」、「エピローグ 2度 父親に」の7部構成で、何本かに分けて上映するというアイディアもあったようだが、結局一気に配信されその後にBlu-rayがリリースされた。
お話は基本同じだがお茶らけたシーンは皆無。
あれ、全部ウェドン監督のものだったんだな。
そして上映時間が倍になったので、色々と説明が細かくなった。
アーサーもビクターもバリーもみんなキャラが掘り下げられ、特にビクターは”影の”というか”裏の”というか、いや”真の”主役とも言うべき存在感を発揮し物語の中心人物へ。
セミッシラ島のシーンが増えたことでダイアナも背負っているバックボーンが再認識出来たし、バルコの出番が復活したことで次回作『アクアマン』へのリンクがハッキリと。
公開版だとアーサーとメラの会話の内容と『アクアマン』本編でのアトランティスの状況に矛盾があるように感じられたのだが、その疑問点は払拭された。
殆どのファンが望んでいたストーリーが、この<スナイダーカット>には結集していると言っても過言ではないだろう。
とは言うものの、サクサク進んでテンポのいい公開版も決して嫌いじゃないんだよなあ。
ジョン・ウィリアムズ作曲の「スーパーマンのテーマ」とダニー・エルフマン作曲の「バットマンのテーマ」が流れるクライマックスはワクワクするし、ちょっとした息抜きとなるコミカルなシーンも多少は必要。
それにやっぱり4時間は長い。
なので両方の良いとこ取りをした、2時間半くらいのヴァージョンがあれば、それが自分にとってのベターな形かな。
伏線を色々と張りながらも今後の作品群へは反映されないようだし、これはあくまで別ヴァージョンとして愉しむものだろう。