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『遊星王子2021』(2021)

村上不二夫(三村俊夫)主演、宣弘社製作のヒーロー「遊星仮面」のリブート版で、監督は河崎実。
公開が延期になっちゃったものの、本来は「シン・ウルトラマン」にぶつけるつもりの企画だったというからこの人はブレない。

この「遊星仮面」、放送を開始したのは1958年で「ウルトラマン」の登場は8年後の1966年のことだから、こちらが本邦テレビドラマ史上初の宇宙人ヒーローになるそうだ。
このテレビドラマと並行して東映で梅宮辰夫主演の劇場版も作られていたが、「月光仮面」や「隠密剣士」もそうだけど当時の宣弘社と東映はどういう関係にあったのだろう?

『遊星王子2021』(2021)_e0033570_21421707.jpgそれはさておき、普段は靴磨きのおじさんとして暮らしていて、一度事あらば無敵のヒーローになる、という設定をそのまま利用出来るわけもなく、普段はパン屋の居候というのが”新”遊星仮面の設定。
作り笑いも高らかに、記憶喪失でド天然、超ポジティブ思考の、見様によってはかなりアブナイ奴。
また時によっては瓜二つのアイドル歌手と入れ替わったり、地球の文化に馴染まない故のドタバタ、シチュエーションコメディの要素がてんこ盛りで、やっぱりこの監督に真っ当なヒーロー物を期待しちゃいけないってコトだ。

またオープニング映像から”新”主題歌から劇伴に至るまで「ウルトラマン」を意識し過ぎで、モロ宮内国郎調の音楽が全編を彩っている。
ところが遊星王子のお父さん、遊星王が出てくると途端に音楽が冬木透調に代わるのは、演じているのが団時朗だからだな。
持ってる杖のデザインが、どう見てもウルトラブレスレッドだし。
他にもタルタン星人の宇宙船が映るシーンで流れるメロディが「キャプテンウルトラ」の主題歌っぽいんだけど…?

出演は日向野祥、織田奈那、若林司、平優心、岩井志麻子、津沢彰秀、きくち英一、堀田眞三。
「帰ってきたウルトラマン」が変身前、変身後の揃い踏み。
津沢彰秀って誰だよ、と思ったら、「ウルトラマン」のホシノ少年だった。
堀田眞三は同じく宣弘社ヒーロー「アイアンキング」の不知火太郎を彷彿とさせるデザインで、これも監督のこだわりらしい。

例によって芸人やサブカル関係者等々のお寒いゲスト出演が多いのがキツいが、お話はなかなか楽しめた。
ヒロイン役の子(織田奈那)もなかなか可愛い。
男性スキャンダルで欅坂46を脱退した娘らしいけど、頑張って欲しいな。

【ひとこと】
”新”主題歌もいいんだけれど、ここは旧作をリスペクトして元祖の主題歌を使うべきじゃなかったか。
オープニングかエンディング、どちらかで流すとか。


by odin2099 | 2021-08-29 21:44 |  映画感想<ヤ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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