『ホドロフスキーのDUNE』(2013)
2021年 08月 29日
「エル・トポ」、「ホーリー・マウンテン」、「サンタ・サングレ/聖なる血」といったホドロフスキー監督の作品は未見なのでどのような作品になっていたかは想像しにくいのだが、頓挫して40年近く経つのに未だに熱く語り掛ける姿に、作品への思い入れの深さ、強さは十二分に感じ取れる。
しかしコンセプトアートにメビウスやクリス・フォス、H・R・ギーガーを起用し、特撮はダグラス・トランブルを蹴ってダン・オバノンを抜擢、音楽はピンク・フロイドにマグマ、キャストにはサルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、ウド・キア、オーソン・ウェルズを配し、しかも監督はカルト作家として知られている人、おまけに低予算である訳もなく、しかも12時間とか20時間の映画にしたいと言い出した暁には大手スタジオが及び腰になるのも無理からぬ話。
むしろ企画段階で一蹴されず、クランクイン直前まで話が進んでいたことが驚きだ。

その後映画化権はラウレンティス父子に手に渡り、デビッド・リンチの手によって完成させられた。
ホドロフスキーは、リンチこそこの作品を唯一監督出来る男だと感じていたのでショックを受け、映画はスルーしようとしてたようだが、息子の説得もあって映画館へ。
ところが見ているうちに「これは失敗作だ」「プロデューサーが悪い」とわかって元気を取り戻したという件は、あまりに正直で思わず笑ってしまった。
ホドロフスキー監督の「デューン」は幻に終わったが、コンセプトデザイン等は出回っていたのでその後の数多くのSF映画に大きな影響を与えていたことが、「スター・ウォーズ」、「フラッシュ・ゴードン」、「エイリアン」、「ブレードランナー」、「マスターズ/超空の覇者」、「ターミネーター」、「コンタクト」、「マトリックス」といった作品群のフッテージを流用することで紹介されている。
膨大な資料は残されているため、ホドロフスキーは今からでも、自分の死後でもいいし、アニメーションでもいいから映画にすればいいと語る。
実際もし志のあるプロデューサーがいたら、今ならばネットでの配信ドラマなど時間的な制約の比較的少ないメディアもあることだし、チャレンジ出来る土壌は醸成されつつあるように思う。
ただ個人的に引っかかったのは、ホドロフスキー版が原作から大きく逸脱しているらしい点。
何かと批判されながらもリンチ版「デューン/砂の惑星」は、原作に準じたストーリー、台詞で構成されていると聞く。
仮にホドロフスキー版が完成したとしてファンは、「これはこれでアリだ」と受け止めるのか、それともリンチ版以上のバッシングを浴びるのか、さてどちらだろうか。

五つ星評価で【★★★★予告が誇大広告でないってのが凄い】 ホドロフスキー監督の作られなかった映画『DUNE』のスタッフやキャストとして名前が挙がってる面々が凄い。クリス・フォス、H・R・ギーガー、ダン・オバノン、オーソン・ウェルズ、ミック・ジャガー、ダリ。バラバラだ。 だが、ホドロフスキーという強力な舵取りの下、熱意をエネルギーに、この集団はスタジオが予算を建前に製作中止になるまで実にい...... more


1位「エル・トポ」
2位「ホーリー・マウンテン」
3位「サンタ・サングレ/聖なる血」
と思うので、1位は見てほしい。1位でこれはニッチもサッチもいかんと思ったら後は何も見なくてもOK。
