『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)
2021年 09月 05日

次に狙われるのは妹のシャーリンだと確信した彼は、一別以来疎遠になっていた妹の元を訪れるのだが…。
<マーベル・シネマティック・ユニバース>25作品目で、<フェイズ4>の2本目。
前作「ブラック・ウィドウ」は時系列的にはサノスの襲来以前、<フェイズ3>を補完するストーリーになっていたが、今回は「エンドゲーム」後の世界を舞台に新しいヒーローを描き、いよいよ本格的に<フェイズ4>の幕が開いたという感が強いものになった。
そして「ブラックパンサー」で黒人ヒーローを登場させたのに続き、アジア人ヒーローをメインに据えた野心作でもある。
今までの作品群がリセットされた訳ではないが、本作はスケールも大きすぎないので、今まで<MCU>に興味を持ちながらも躊躇していた人たちには、新規参入のチャンスが訪れたと言えそう。
シャン・チーを演じるのはシム・リウ、その父ウェン・ウーにトニー・レオン、妹シャーリンにメンガー・チャン、シャン・チーの親友ケイティにはオークワフィナ、シャン・チーとシャーリンの母リーにファラ・チャン、その姉で兄妹の伯母イン・ナンはミシェル・ヨー、それに公開前には伏せられていたがトレヴァー・スラッタリー役でベン・キングズレーが出演。
監督はデスティン・ダニエル・クレットン。

まあそんな見栄えのしない兄妹が生半可じゃない格闘技スキルを身に着け、世界を救うというのが良いのかもしれないが。
お話の方も組織の抗争絡みなのでやはり地味。
二昔前のカンフー映画のようで、ミシェル・ヨーもユン・ワーも頑張っているが、後半に入ると一転してファンタジー映画と化すのが唖然というか、流石<MCU>というべきか。
毎回恒例となっている他の<MCU>作品とのリンクとしては、先ずは敵組織として出てくるテン・リングス、これが「アイアンマン」でトニー・スタークを誘拐したテロ組織の名前だ。
その計画にウェン・ウーが関与していたのかどうかはわからないが、結果的にアベンジャーズ結成の端緒を作った組織で、「アイアンマン3」ではそのリーダーであるマンダリンが登場するも、これが偽者。
今回出てくるのが本当のテン・リングスであり、本当のリーダーということになる。
なお偽のマンダリンを演じたのはトレヴァー・スラッタリーという俳優で、何故かテン・リングスが脱獄させて今回再登場。
コメディリリーフの役割も果たし相変わらず憎めないキャラクターとして描かれてはいるものの、ウェン・ウーは彼を使って何をやりたかったのかは結局わからずじまいだった。
途中で処刑云々という台詞が出てくるが、わざわざ見せしめで殺すためだけに脱獄させたとも思えないのだが。
またドクター・ストレンジの盟友ウォンが登場。
何故かシャーリンが作ったアンダーグラウンドの格闘場で、あのアボミネーションと戦っている。
アボミネーションは「インクレディブル・ハルク」以来の再登場だが、ウォンとは何やら親し気に打ち合わせをしてるシーンもあり、今後も重要な役割を果たしそうだ。
そのウォンはラストシーンでシャン・チーとケイティの前に再び姿を現し、そしてポストクレジットシーンへ。
そこにはホログラム姿でブルース・バナーとキャロル・ダンヴァースもいて、テン・リングスがヴィブラニウムでもチタウリとも違う未知の金属で作られていることと、シャン・チーが身に着けた際にどこかへ何かを発信した形跡があることが語られる。
ということで早くもアベンジャーズとの接点が出来たシャン・チーだが、今のところ次回作は未定とのことなので、次に彼に会えるのはいつのことだろうか。
そしてもう一つのポストクレジットシーンでは、壊滅させたはずのテン・リングスをシャーリンが立て直し、自らがリーダーの座に就いているシーンが描かれ、そこに「テン・リングスは帰ってくる」とのテロップが。
一連の出来事を経てシャン・チーとシャーリンは理解し合えたと思ったのだが、今後の作品では兄妹が相争うような展開も待っているのだろうか。
「シャン・チーが帰ってくる」でないのも何やら意味深。
個人的には今のところ満足度の低い本作、これから何度か見直していくうちに面白さも増していくかもしれないが、これら<MCU>作品とのリンクが張られているという点で辛うじて及第点。
ネット上での感想を拾うと好意的なものが多く、中には<MCU>で一、二を争う傑作と評する声もあったのだが、その人たちには自分には見えなかった”何か”が見えていたのだろう。

◆『シャン・チー/テン・リングスの伝説』トーホーシネマズ日本橋7 ▲なんだよ、お前、ミスター・ノーバディかよ。 五つ星評価で【★★★良い所と気になった所を羅列してみる】 全体的にはちゃんと楽しめているのだが、手放しで拍手するのはちょっとイヤみたいな気持ちがくすぶってて、良い所と気になった所をあげていこうと思う。 【良いところ】 ●思った以上にちゃんとカンフー映画とマーベルのヒーロー物が...... more


ごめん、超絶面白かった。何に謝っているかというと、こんなに面白いと思わなかったことについてだ。一時期TOHOシネマズのアプリを開くと、この「シャン・チー…」の予告が必ず数秒間出てきた事があって、アプリはサクサク使いたい派の私は軽くイラついていた。すぐに明日の上映スケジュールを見たいのに、ジェネリック中井貴一(シャン・チー役のシム・リウって中井貴一に似てませんか?)が出てくるのがどうにも。しかもその動画にトニー・レオンが出てくる訳でもなく。そう。トニー・レオンの名前を出してしまったからには、何をさてお...... more

ドラゴンボールで言うところの、
ヤムチャか天津飯を主役した感じですもんね。
そう言えば、
なんだかジャッキー映画っぽかったのはそれでですか。
納得しました。
あと、
きっとすでにご存じでしょうけど、
アボミネーションの登場は、
ドラマ版のシーハルクに登場するかららしいですね。
それと、
ブルースバナーが、
ハルクと融合した姿から人間に戻ってましたね。
これには何か意味があるんでしょうか?
これも、ドラマと何か関係するのかな?
<MCU>はみんなアクション映画ですが、主人公が格闘技のプロという設定なのは今回初めてですね。
今後他のキャラと絡んだ時に、どれだけ個性を保てるのかは気になります。
また今後「シャン・チー2」が作られた際には、師匠枠かヴィランとしてジャッキー・チェンとかユン・ピョウ、ジェット・リー、ドニー・イエンあたりが出てきたりして。
チョウ・ユンファとか。
ブルースがハルクの姿から戻った理由は「シーハルク」で描かれるんじゃないでしょうか。
クレジットを見逃したんですが、今回のアボミネーションはティム・ロスが演じてたのかしらん?
いよいよ配信ドラマも見なけりゃいけなくなってきたなあ…。

本物の霊現象みたいな? つまらんとは思わんが傑作とまでは思わない。いろいろ取りこぼしてる感じも多い。