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『007/スカイフォール』

イオンプロ製作の<ジェームズ・ボンド>シリーズ23作目で、50周年記念作品。
6代目007のダニエル・クレイグとしては3本目で、長らくM役を務めたジュディ・デンチの勇退作。
と同時に、6代目になってからは不在だったミス・マネーペニーとQが新たに登場、という具合に色々と節目の作品になった。

『007/スカイフォール』_e0033570_19010086.jpg今回のヴィランは元MI6の工作員ということでいわば身内であり、またターゲットがM個人なのでボンドたちの対応が後手後手に回る。
冷戦終結後はスパイの出る幕ではなく、外部に敵を作りにくいせいか身内の不祥事を題材とするエージェント物が増えてるような気もするが、もうこうなると昔懐かしい架空の「世界征服を企む」悪の秘密組織を復活させるしかないんじゃないかと思ってたのだが、次回作ではとうとうあのスペクターを復活せざるを得なくなった。
フィクションも難しいものである。

前述の通り今回でジュディ・デンチは降板。
彼女に代わってからはそれまでの単に指令を伝えるだけの存在から、ボンドと深く関わりを持つキャラクターへと大きく変貌したのだが、その帰結点として最後までボンドを信じたことに満足しながら、ボンドの腕の中で息絶えるという劇的なクライマックスが用意されている。
今まで以上に前面に出てくる彼女は、時にはボンドの障害にもなるような存在感だったが、それでドラマがより色濃いものになったのだから彼女の功績は大だ。

ちなみに「スーサイド・スクワッド」や「ザ・スーサイド・スクワッド/”極”悪党、集結」に登場するタスクフォースXの司令官アマンダ・ウォーラーのキャラクター造形には、少なからずこのジュディ・デンチ版のMの存在があるように思えてならない。
常に任務の遂行を優先するアマンダは、言わば「やりすぎたM」なのだと思う。

クライマックスの舞台となるのはボンドの実家スカイフォール。
この屋敷の管理人キンケイドを演じているのはアルバート・フィニーだが、当初はこの役にショーン・コネリーを起用するアイディアもあったのだとか。
しかしコネリーをボンド役以外で起用すれば混乱するという声もあって見送られたようだが、もはやコネリーにはかつてボンドを演じていた頃のイメージはないので、見てる側としては特に混乱をきたすようなことはなかったと思う。

確かピアース・ブロスナン時代にも悪役でコネリーを起用するという案があったようだが、いずれにせよコネリーとイオンプロとの関係を考えると、オファーをしたところで了承を得られたかどうかは怪しいものだが。

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/19305839/
https://odin2099.exblog.jp/23872310/


by odin2099 | 2021-09-14 19:04 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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