
美術商が殺害され、近隣の住人が不気味な笛の音を聴いていたことから、事件は「蛇笛殺人事件」と名付けられた。
続いて今度は靴磨き夫婦の子供が誘拐される。
殺人事件が起こる数日前に、被害者が相談を持ち掛けて来ていたことから、私立探偵の蘭光太郎は事件の捜査に動くのだが、コブラ仮面と名乗る男から捜査から手を引けとの脅迫が届く。
そしてコブラ仮面の次なる魔手は、孤児の世話をしている幼稚園の園長へ――。
東映が『月光仮面』の川内康範と組んで製作したテレビドラマ、その第1話から3話までを再編集した総集編で、当初から<東映特別娯楽版>として劇場公開を前提に作られたもの。
『月光仮面』は宣弘社製作のテレビドラマをベースに新たに映画化したものだったから、こちらが東映ヒーロー物の元祖と言うことになる。
主演は波島進で、出演者には安藤三男や潮健児の名前も見えるのも正に”元祖”東映ヒーローの趣だ。
後に主演は千葉真一に交代し、タイトルも『新・七色仮面』へと改められる。
主人公が”七つの顔を持つ男”と呼ばれる探偵なので(勿論これは多羅尾伴内を意識したものだ)、お話も探偵モノとして進行。
蘭光太郎の変装はなかなか見事なもので、見ている視聴者(観客)はすぐ正体に気付くけれども、劇中人物たちにはさっぱりわからない、というギリギリの線だ。
そして連続活劇の常として主人公が絶体絶命で「次回へ続く」で終わるのもお約束なのだが、その結果この第一部では七色仮面が一切姿を見せない。
これ、『七色仮面』の映画なのだが。